024
グラウンドが見える校舎裏、そこにいたのは早朝の高校にいるのは不自然な子供だ。
ミニツインテールのかわいらしい女の子が、半そでシャツに長いズボンをはいていた。
何よりも、その女の子には見覚えがあった。
「お前は、四十万の妹……」
「美来よ」小さな女の子が、腕を組んでいた。
「迷子か?」
「あたしはね、あんたの女癖を監視していたの」
「また、監視か。今日は監視が多いな」
さっきは恵理那、今度は美来か。俺が何をしたっていうんだ。
「つまりは迷子なんだな」
「だから監視だって。本郷 健斗」
「なんだ?」子供っぽい仕草で、美来が俺を指さしていた。
「俺が校舎の外に……」
「あの女は?本郷には再葉がいるでしょ」
「まあ、そうだけどな。でも子供が大人の恋愛に……」
「高校生でしょ」美来は、すぐに俺の言葉に突っ込んだ。
最近の小学生は、随分と進んでいるな。
強気の顔で、俺をじっと見ていた。再葉とは、全然雰囲気が違う美来。
「それより、質問に答えて」
「恵理那だよ、梶原 恵理那。俺のクラスのクラス委員長だ」
「クラス委員長がなんで、体育祭の準備をしているの?」
「俺の監視らしい」小さな女の子なのに流暢なしゃべりに、俺は少し驚いていた。
なんだろうか、普通の女の子ではないみたい。同世代と話しているかのようだ。
「ねえ、本郷」
「なんだ?」
「あの女に愛はあるの?」
「え?」いきいりとんでもないことを聞いてきたな、美来は。
強気の顔で、俺の方を見ていた。子供の冗談としては、妙に鋭い。
「恵理那とは、ただの友達だよ。
まあ、小学校の時は一緒の学校だったし、中学は学区が違っていたから離れたけど」
「愛はないの?」
「愛はない」
「そう、それならいい」
美来は、どうやら俺を許してくれたようだ。
結構きつい尋問だな、美来は。子供ってズバズバ容赦なく言うから、恐ろしいものがある。
「後は、ほかにも女子と話をして……」
「美来さん!」
そんな校舎裏に、一人の女子が現れた。
ブレザーを着て、学生カバンを肩にかけた女は俺らを見て驚いた顔を見せていた。
「おお、再葉か」
「何やっているんですか?美来さん」
そこに駆け込んだのは、再葉だ。すぐさま小さな女の子の前に、全力で走ってきた。
「全く、若葉さん。探していましたよ、今日は体育祭だし」
「そうだったな」
「あっ、本郷君?」
そんな再葉は、なぜか俺を見て驚いた顔を見せていた。
「よっ」
「あの、本郷君が」
「やっぱり迷子だったか?美来」
「断じて違うっ!」強く否定した美来だが、すぐに再葉が美来を連れていく。
小さな美来を保護した再葉は、俺に軽く頭を下げていた。
「それじゃあ……」と小さな声を残して、二人は校舎裏から離れていった。




