017
俺の席には、二人の女子が集まっていた。
一人は成績優秀な、眼鏡をかけた優等生の恵理那。
もう一人は、秘密の多い俺の今の彼女でもある再葉だ。
二人とも俺の席から少し離れているが、なぜか俺の席に集まっていた。
「あ、四十万さん?」
すぐに、頼れるクラス委員長に戻った恵理那。
知的に眼鏡を、キラリと光らせていた。
「梶原さん、本郷君と仲がいいんですね」
「クラス委員長だから、逆に人望がないとね」
「そうですか、今朝も一緒に学校に通学したとか。
手をつないで、仲良く通学していたとか」
「体育祭の実行委員だから、彼を迎えに来たの。
ほら、もうすぐ体育祭でしょ」
再葉の目が、少し険しいようにも見える。
だけど恵理那も、全く食い下がらない。
俺を挟んで、二人が静かに見ていた。
(これって、まさか……やきもちか?)
俺は再葉を見ながら、そんなことを思っていた。
「その割には、随分と親しくないですか?私の彼と」
「彼?本郷君が?」
「私の彼です、本郷君は」
そういいながら、再葉が俺の腕をつかんできた。
その腕力は、やはり強い。痛いほどに、俺の腕を握っていた。
「痛い痛い、再葉。力が入っている」
「そう、四十万さんが本郷君の彼女っていうわけね」
「はい、私の彼氏……」
「本郷君には、そんな風には見えないわ」
恵理那が、眼鏡を小さく動かしながら俺を見ていた。
落ち着いた様子で、腕を組んで俺を見ていた。
「本郷君」
「なんだ?えりちょー?」
「いつから、四十万さんと付き合っているの」
「いつからって……ほんの三日前だ」
「三日前……ねぇ」
「わかったでしょ、私と本郷君は付き合っているの」
再葉が恵理那に迫っていた。
彼女の本能だろうか、冷静な恵理那も流石に困った顔を見せていた。
「わ、わかったわ。わかったから四十万さん。あと本郷君!」
「ん?」
「来週月曜は、バイトなかったわよね?
体育祭の準備があるから、参加してよね」
「ああ、わかった」
そういいながら、恵理那は俺に背を向けて机から離れていく。
恵理那の間に入るように、腕を挟んだ再葉が割り込んできた。
その顔は、少し泣き出しそうな顔を見せていた。




