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夏が終わり、秋がやってくる。
再葉の夏の運命は、時間がつながった。そして、この日は二学期最初の日だ。
まだ、残暑が厳しくて暑い室内。クーラーは全開にしていた。
「暑い……」とろけそうな顔で、俺はベッドの上から起きた。
俺は体を起こすと、汗だくのシャツを脱ぐ。
少しだらしない体が、のぞかせていた。
「痩せないよな、太っているのか」
俺は一瞬、自分の父親を思い出してげんなりした顔を見せた。
「何を、ぶつぶつ言っているのよ」
「だって、暑くて……え?」
俺は声の方を振り返ると、そこには一人の少女が立っていた。
ブレザーを着ていて、かわいらしい女。
長い髪をなびかせて、カバンを両手で持っていた。
「ふ、再葉……どうして?」
俺は驚いた。それでも、再葉はじろじろ俺を見ていた。
「ふーん、ちょっと太ってきたのね」
「な、な、な、なんでいるんだよ?」
「えー、あたしが通したの。面白いから」
そういいながらドアの奥には、声が聞こえてきた。
声だけで分かる、酒焼けした雪乃姉の声だ。
相変わらず、俺の姉はちょっかいばかり出すな。
「健斗、それより……服着替えて」
「あれ、もう時間?」
「今日は、会議でしょ」
「あっ、そうだった」
そうだ、今日は文化祭の会議があった。
二学期最初の日、それが俺の日だ。
「私も一緒だから」
「そうだな、学校に戻ったんだよな」
「ええ、早くしてよね」
「わかったよ」
そう、俺は日常が始まった。再葉と運命を乗り越えた日常が。
「じゃあ、行こうか」
俺は、再葉と共に家を出ていった。




