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一年彼女  作者: 葉月 優奈
『一年彼女』投稿23
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(KENTO’S EYES)

俺は新幹線に乗り込んだときは、東京を夜九時に出ていた。

こりゃあ、夜十一時。完全に親に怒られるな。

新幹線の中は、静かでクーラーが寒いくらいに効いていた。


新幹線内の客は、一様に疲れている人が多い。

会社員や、大人が大多数だ。車内にいる未成年は、俺ぐらいか。


タワーで、再葉が泣いた。

そして、唇をかわした。

あのキスは今でも、俺の感覚として残っている。


(俺は選んだんだ)

それは、運命という時間に究極のデート。

時間を自在に操り、未来を見たチュパカブラの運命を知っている。

この日に再葉が死ぬという、悲劇の運命。

それを救うために、俺はデートをした。


再葉を救うことが、俺の行動理念だ。

それ以外を考えずに、ただ前だけを向いてきた。


タワーで意識を失った再葉、彼女の体が俺の隣の座席にある。

目をつぶっていて、動かない。


(俺は、間違ってはいない)

そこに俺は、感じていた。

帰路を急ぐ新幹線は、確実に俺たちの家に向かう。


それは後悔かもしれない。

これからの世界は、絶望かもしれない。

だけど、俺は前を向いて進むんだ。コイツと。

俺が振り返った再葉は、ゆっくり目をこすっていた。


「あ、健斗……ついたの?」

「ああ、もうすぐだ」

ちょうどタイミングよく、新幹線の車内アナウンスが鳴っていた。

「次は、掛川」というアナウンスを流しながら。



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