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(HIBIKI’S EYES)
モールのFF店を出たのはバイトが終わってからだ。
あたしは、いつも通りバイトの服から学生服に着替えていた。
静かなモールは、健太と一緒に帰ったことが多い。
だけど、今日は違っていた。
「なぜ、あなたがいるの?」
「香音は、おいしかったです」
それは香音だ、再葉の友人で転校生だ。
幼い顔で、年齢よりもずっと幼く見える。
「ハンバーガー、気に入ったのね」
「はい、香音は大食いですから」
「そう」あたしは、健斗と彼女の家を突き止めた。
それは再葉のことを知りたがる、健斗と私の罪を精算するため。
健斗は、そのあとあたしに謝る機会を与えてくれた。
「あなたにも、一応感謝するわ」
「ならば、ハンバーガーの引換券を」
「あげないわよ」あたしは突っぱねて否定した。
「こういうのは、お客に親切にしてですね……」
「はいはい、ありがとうございます」
「でも、あなたが本当に謝るとは思わなかったわ」
香音は、いきなり再葉の話をしてきた。
それは少し以外でも、あたしは落ち着いていた。
「あたしは、止められなかったのよ。
あそこで再葉をいじめないと、あたしがいじめられる。
健斗や知り合いの友達が、三年になって離れて……申し訳ないとおもっているわ」
あたしは、しんみりとした顔を見せる。
すると、隣を歩いていた香音があたしの方に手を伸ばしてきた。
「ちょっとなによ……」
「いい子いい子」頭をなでてきた香音。
「あたしの方が、ずっと背は高いでしょ」
慎重差二十センチ、あたしの方が大きい。
しかも、その小さい香音が懸命にあたしの頭をなでようとする。
彼女のやる気だけが、あたしに伝わってきた。
「ありがと、もう大丈夫。
再葉に謝れたし、あなたにも感謝しないとね」
「では、ハンバーガー引換券を」
「それはダメ」そういうと、香音は膨れた顔を見せていた。
そのままあたしは、香音と一緒に静かなモールを歩いていた。




