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(FUYOU’S EYES)
私は、夜になってもこの公園にいた。
健斗から言われたあの日、私は覚悟をしていた。
私は、ここで役目が終わりのはずだった。
そんな私には、まもなく黒い車が待っていた。
「芙蓉、戻ったのか」
「ええ、あんたはよく生きていたわね」
そこには、筋肉質の男だ。
名前を塊という、私の相棒だ。
最も、現在は任務をしていない。本体である雲吞は、壊滅状態だ。
「この雲吞も、そろそろ日本から撤退するしかないようだ」
「そうね、ここを出るのね」
「ああ、お前はうれしくないのか?芙蓉、中国に帰れるのだぞ」
「別に」私は本心だった。
今の私の居場所は、中国にはない。
雲吞というのは、元々組織が中国系の企業によるものだ。
中国人であり、ちゃんとした名前もある私はこの芙蓉という偽名を使っていた。
もちろんそれは、雲吞を抜け出した再葉を探すため。
「彼女の身柄はもう捕獲は、できないし」
「収穫はないが、ほかにアプローチがあるだろう」
「そうね」
「お前だって、今は不死者だろ」
「劣等生だけど」塊に、私は愚痴を吐いた。
それでも武骨な顔で塊は、私の話を聞いていた。
「じゃあ、出発だ」
「待って」塊の言葉に、私は手を挙げて止めた。
「どうした?」
「明日にしてくれない?せめて彼に会いたいの」
「彼?」
「ああ……うん、私のターゲットよ」
それは私が派遣された、要因となった人間。
再葉を確保するために、近づいた一人の人間。
「わかった、それじゃあ、一日待つが……いいのか?」
「ありがと」私は素直に、塊に感謝した。
その塊は、一人で黒い車に乗り込んでいた。




