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再葉は不死者だ。人間の動きと違う。
だけど、階段に行く前の再葉の手を、俺はつかんだ。
再葉の背中越しに、俺は見ていた。
「そんなことを、させるわけないだろ!」
「どうして?あなたは私を」
「好きになったんだから!」
それは、俺の本当の気持ちだ。
再葉と一年彼女で、しぶしぶ付き合ったあの時と違う。
今は再葉無しでは、生きていけない。
その再葉は死のうというのならば、俺は全力で止める。
「俺は再葉を愛している」
「本当に?」
「当たり前だ。お前を絶対に救う」
「だけど……私は化け物で」
「今の再葉は早くない、つまり不死者で無くなっている」
俺の言葉に、再葉がはっとしていた。
「私は、化け物で」
「たとえそうであっても、俺は再葉を愛しているんだ」
そのまま俺は、再葉を抱きしめた。
再葉の顔が俺の顔と近い。顔も赤く、大きな瞳で俺を見ていた。
「再葉……」
「でも私は……」
「お前は、俺の永遠彼女だ!」
「健斗、私はその言葉が」
「ああ、何も言うな。静かに目を閉じていろ」
「うん」俺の言葉に、再葉が素直に従った。
そして、俺は再葉と顔をあわせた。いや唇を交わらせていた。
その再葉の唇は、とても柔らかくていいにおいがした。
「ありがとう、健斗」そんな時だった。
俺の腕に抱かれていた再葉の様子がおかしかった。
なんだか、力が抜けたかのようなそんな顔を見せた。
「楽しかったよ、健斗」
その一言を言い残して、再葉はゆっくりと目をつぶった、
俺は、何度も再葉の体をゆすっていた。それと同時に、俺のスマホが鳴っていた。




