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一年彼女  作者: 葉月 優奈
『一年彼女』投稿23
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一年彼女は、再葉のけじめだったのかもしれない。

それは記憶を失うではなく、記憶を封じてあの世に旅立とうとしていたのだろうか。

そこまで再葉は、追い詰められていたのだろうか。

周りには、まだ俺たちをチラチラ見る観光客がいた。

だけど、そんなことも気にならない俺と再葉の空気があった。


「表の裏の世界、私は世界の違いに驚かされた。

それは、私が生きていていいのかと思えるほどだ。

若葉からいろんな話を聞くまで、私は雲吞の世界しか知らなかった。

だから、外の世界で、私は自分が化け物だと知った」

それは、再葉の本当の思いだろう。

再葉の当たり前が、外の世界を知ることで違いに気づいた。


「私は、それでも死ねなかったのは……健斗がいたからね」

「俺が?」

「ええ、私はこの世界に未練はなかった。

死ぬことも、何のためらいもない。不死であり、一度死んだようなもの。

だから、なにも怖くはなかった」

「それでも俺は、再葉を絶対に死なせたりしない。

もう、再葉を一人にはしない」

「ありがと、健斗」

俺に対して、再葉がようやく笑顔を見せた。

その笑顔は、まぶしく見えた。


「だけど、私は」

そんな俺の手をすり抜けるように、再葉が突然立ち上がった。

それを俺は引き留めようと、手を伸ばす。

だけど、再葉は俺からスルリと抜けていく。


「私と一緒にいてくれて……ありがと」

「ダメだ、再葉!」

それは再葉の決意だ。

そのまま、再葉は近くの関係者用の階段に向かっていく。

その再葉を、俺は追いかけることにした。



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