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エレベーターに乗ると、そこは天空の世界。
僅か数分で、俺たちはビル何十回分もの高さの上にいた。
展望台に来た俺と再葉は、長めを見ていた。
「わー、高いっ!」
「再葉は、高いところが好きなんだっけ?」
「うん」この展望室に来て、再葉は嬉しそうだ。
「よかった、再葉の好きな場所で」
「高いところは好きですね、天国に近いから」
「天国っていうなよ」
「私たち不死者は、天国に行けないですから」
それは、再葉の中にある思いだろう。
不死者という、世界にはありえない存在は死後の世界に安らぎを求める。
だけど、そんなことはさせたくない。
「彼女をやめた……」
「どうした」
「私、思い出したのです」
「マジか……」
俺は、不意に両手をつかんでしゃがみだす再葉の手を握った。
かがんでいる再葉に寄り添う俺、周りの客に注目されていた。
「そう、この景色は最後にしようと思っていたので」
「最後?」
「私は、二度と健斗を思い出さないように……
二度と表の世界に出てこないように……
二度と私は目を覚まさないように……そう思ったの」
「だけど、目を覚ました」
「私は死にたかった。あの日」
再葉は、切なそうな顔で泣きながら言っていた。
それは、俺の前で彼女がはっきりと言葉にしていた。




