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一年彼女  作者: 葉月 優奈
『一年彼女』投稿23
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ここは東京だ。

何よりそこには、再葉の好きなものがある場所だ。

東京のタワー、俺はここに約一か月ぶりに帰ってきた。


そう、そこは再葉が飛び降りた場所。

タワーのエレベーター前では、相変わらず行列ができていた。

流石は、東京屈指の観光地なだけある。

俺は再葉の手をつないで、待っていた。


「ここは……少し覚えている」

「そうか、俺は鮮明に覚えている」

ここで再葉は飛び降りて、記憶を失った。

失った再葉が、不死者である力を失いつつある。

だけど、記憶が戻らなければ再葉は死んでしまう。


「俺にとって、ここはとても辛い思い出しかない。

本当は、あの日の後も東京観光を遅くまでやりたかったんだろ」

「私は……ごめんなさい」

「気にすることはない。

だけど、この場所なら再葉が戻ると思ったんだ」

俺はここを選ぶのに、葛藤があった。

この場所は、再葉にとっても俺にとっても心に傷を残している。

特に俺は、ここで生まれて初めて絶望を感じた。


「健斗、苦しそう」

「苦しいよ、でも……」

俺はここにきて、気分がよくない。

あの絶望の場所は、見るだけで体が震える。

それはトラウマで、辛さがよみがえってくる。

だけど俺は、しっかりと再葉を見ていた。


「それでも、これは再葉のためだから」

そんな俺は、覚悟を決めていた。

自分は、再葉のために何ができるだろうか。

それは、俺の無力感があった。


「私のために……うれしい」

「ああ、一緒に見よう。この上の景色を」

そういうと、エレベーターが到着していた。

それと同時に、俺の前の列が動き出していた。



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