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俺たちは駅に来ていた。
駅に来ていた俺は、ホームで電車を待っていた。
昼間の平日、人はまばらだ。
もちろん俺たちのような若い高校生はいない。
「いいのかな?」
「いいんだよ」
俺は再葉に言っていた。
二人でベンチに座り、電車を待つ。
「健斗は、暖かいのね」
「まあ、暑いぐらいだ。今は夏だし」
「そうね」
再葉は、俺のことを横で見ていた。
俺と再葉の二人の距離感が、なんだか照れくさい。
ホームで見ているほかの乗客の目線さえ、あまり気にならない。
「ねえ、どこにいくの?」
「再葉の思い出の場所」
「思い出?」
「俺はいろいろ考えたんだ。
だけど、再葉とデートをするのならどうしても行きたい場所があるんだ。
そこならば、再葉の記憶が一番戻ると思ったからだ」
「わかった。私は助かるの?」
「助けるって、言っただろ!」
俺は、再葉に約束をしたんだ。
絶対に再葉を救うって、記憶を取り戻すことを。
「ええ、信じる」
「ああ」俺は再葉の肩を抱き寄せた。
だから、俺は迷わなかった。
この先、何が待っていても、どういう運命が待っていても必ず助けるって。
再葉の手を俺は、離さなかった。
「いつまでも離さないでいてね」
「もちろんだとも」
俺は再葉と約束した。
そんな俺と再葉の前に、電車がやってきた。




