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少し時間がたっていた。
時間は午前十一時頃だろうか。
この日の最後、運命ならば再葉は死ぬ。
そんなことは、させるわけにはいかない。
俺は、中本に背中を押されて駅へと向かっていた。
その道中の商店街に、俺は来ている。
隣を歩く再葉の様子は、少し心が晴れているようだ。
「再葉、大丈夫か?」
「健斗、芙蓉を会わせてくれてありがとう」
「ああ」
「これで私は、思い残すことはないわ」
再葉は穏やかな笑顔で、俺を見ていた。
だけど、それはあきらめにも似た顔でもあった。
「何を言っている」
「私、わかるんです。運命の時間が、刻一刻と迫っているのを」
俺の言葉に、再葉は力なく答えていた。
「運命の時間か、確かにそれはあるけど。
俺のメモには、それはない」
「信じていいの?」
「俺を信じろよ」
俺は再葉をじっと見ていた。
俺はこのデートを、最後まで完成させないといけない。
このデートの完成は、運命の日を過ぎることにある。
それは、再葉が完全に記憶が戻らないといけない。
「でも、そのデートはどこに向かうの?」
「まずは、あそこだ」
俺たちの前には、コンビニが見えた。
そこで、俺は財布を取り出していた。
「軍資金が大量に必要だからな」
はにかみながら、俺は再葉にそう答えていた。




