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(KENTO’S EYES)
ここは、マンション近くの公園。
中本は、雲吞の再葉の話を続けていた。
そのあと若葉に出会って、再葉は雲吞を出ていく。
中本はあの実験の後、再葉と別れた。
再葉が、雲吞を抜けたきっかけになった。
それは、再葉と中本の価値を決定的な話。
「だから、私は再葉が嫌いだった」
「そう、芙蓉」
「今、芙蓉って言ったよね?」
再葉の顔を見て、中本が手をつかんだ。
「ええ、芙蓉でしょ」
「戻ったの……」
「少しだけ……」
「そうか、戻っているのか?」俺はどこか少しうれしかった。
再葉の記憶は、やはり戻っている。
彼女の過去は、それでも浮かない顔を見せていた。
「辛いか再葉?」
「はい、あの時は……」
再葉の目から、自然と涙があふれていた。
それは体を震わせて、泣いていた。
「大丈夫か?再葉」
「ええ、私は雲吞の再葉だった……」
「いいえ、あなたは優秀な不死者」
それを続けていたのが、中本だ。
険しい顔で、再葉を睨んでいた。
「あなたは私よりも優秀なのだから、どうして雲吞をやめるの?
あなたは、雲吞に求められているのだから」
それは、中本の心の叫びのようにも聞こえてきた。




