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アナウンスがあってから十五分後、再びスーツに着替えた私は再葉と一緒にいた。
第二実験室は、奥に寝そべって検査する機械も見えた。
いくつものモニター席があり、オペレーターも多い。
白衣を着た人間と、鼠色のスーツの男が待ち構えていた。
「丁様」鼠色のスーツの男は、丁だ。
この雲吞の生みの親であり、オーナーだ。
「ああ、君らにはある実験を行う。
今度の実験は、とても負担の大きいものだ」
「どんな実験を、するのですか?」
「耐性テストだ」
というわけで、私は機械の中にすでに入っていた。
機械の中は、薄暗い。狭くて闇が目の前に広がっていた。
「ここは」
スーツ姿の私には、よくわからない電線がいくつもついている。
私の体から、すでに微弱の電流が流れていた。
「再葉、そっちにいるの?」
計器には、私以外にも再葉がいた。
再葉も隣でつながれていた。実験はどうやら私と再葉の同時進行らしい。
「これからしばらくは、機械から有毒なガスが流れる。
身の危険を判定したら、速やかに右指のボタンを押せ」
「わかった」
「では開始する、耐性テストだ」
密封された頭の中に、ガスが充満した。
そのガスは、甘い匂いだ。だけど、それは毒だとすぐに分かった。
(苦しい……)
五秒もしないうちに、私は呼吸が苦しくなる。
息を吐くのが難しい、まるで忘れてしまったかのようだ。
それでも指に手をかけようとしたが、動かない。
(なぜ、私の頭は指示を出しているのに)
その毒は、かなり体を蝕んでいた。
私の体は、想像以上に動いていない。
(しびれ……この感覚)
意識が、だんだん失われていく。
だけど、ガスが止まる気配はない。
「大丈夫か?データ値、芙蓉の方が落ちているぞ」
「もしかして中で……」
「まだ返答もない、実験を続けろ!
この数値で根を上げるようでは、使える不死者ではない」
最後の声は丁だ。研究員となにか揉めているのだろうか。
だけどそのかすかな声に、私は返事できない。
(口さえも、動かない)
まさに、自分は体が動かない。
それでありながら苦しみが続く、呼吸ができない。
(不死なのに、私は死ぬの?)
私はその辛さを、感じていた。感じても表激できない。
体が動かない、時間が慣れていく。
そんな時だった。外が騒がしくなったのは。
「おい、再葉。勝手に実験を」
だけど次の瞬間、私の前が明るくなった。
「芙蓉、大丈夫」
それは再葉が、私の機械を壊していたからだった――




