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ここは、研究所。雲吞の地下施設だ。
あの森も、疑似体験用の森で人工的に地下に作られている。
その森を抜けた先には、建物が見える。
建物の中にある更衣室、ロッカーの中で私はボディスーツを脱いでいた。
「ごめんなさい」
「何謝っているのよ、あなたは強いのだから」
私の隣には、私とさっきまで戦った再葉がいた。
彼女も同じようにスーツを脱いで、着替えていた。
「あなたは、やっぱり強いのね」
「血液が、チュパカブラの血液とあっているだけです」
「それは、十分なことよ。
何より不死者として認められれば、あなたの価値は上がるから」
「価値……ですか」
再葉は、なんだか不安そうな顔を見せていた。
「どうしたの?」
「いえ、私の価値って不死者だけなのかなって」
「そうでしょ、私たちは人工不死者に認定されなければ生きている意味がない。
私たちは雲吞を離れたら……」
「わかっています、生きられない」それは丁に言われた言葉。
彼は、私たちに生きる場所を与えてくれた。
この雲吞こそが、私たちの世界。
「美来はどこに行ったの?」
「あの子は、実験途中に気を失っている」
「また、さすがにあの子は、見た目も変わらないからね」
「うん、美来は相性が悪かったのだと思う」
「結局相性ね」
私はそんな再葉を、じっと見ていた。
「どうしたの、芙蓉?」
「あなたは、相性のいい人いる?」
「え?」
「だから、好きな人……研究員の機械メンテ部の人とか」
「あの背の高い人?」
「そうじゃなくて、少し小太りの周さん」
私がそういうと、なぜか再葉は引いた顔を見せた。
「な、なんでそんなに引くの?」
「芙蓉って、変わった趣味なのね」
「じゃあ、じゃあ再葉は?」
「うーん、がむしゃらな人かな」
「そう」
「何か、生きるのに必死に頑張っている人が……私は好き」
「面食いじゃないのね、意外」
私の知っている再葉は、髪が長くて清楚だ。
美人というかはかわいい系の女、日本人らしい女性だと私は思っていた。
そんな中、更衣室のスピーカーから音が聞こえてきた。
「再葉、芙蓉、丁様がお呼びです。至急第二実験室まで来てください」
それは、管内アナウンスだった。
だけど、まだ知らない。この放送が、私と再葉の運命を分けることになろうとは。




