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一年彼女  作者: 葉月 優奈
十一話:一年彼女が死ぬ運命
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朝の公園は人が少ない。

マンションの住民が使うことの多いこの公園は、この時間は人が少ない。

静かで、ベンチもある。雰囲気は悪くない。

俺は再葉と向かい合いながら、しっかり見ていた。


「キスですか?」

「ああ、しばらくしていないだろ」

「私と……ですか?」

「ほかに誰がいる?」

この公園には、ほかに誰もいない。

大通りから少し離れた場所で、人目にもつかない。


「あの……私。まだ心の準備が」

「そうか、すまない」

「いえ……」だけど再葉は寂しそうだ。


「でも、この感情は思い出せたか?」

「何となく、ぼんやりとモヤのような、うっすらと」

再葉は、歯切れの悪い言葉でつぶやく。

彼女の中ではっきりとした感覚は、残っていないだろう。


「俺も、ここで一つ失った記憶が戻ったんだ」

「どういうこと?」

「俺はこの公園で襲われた」

「襲われた?」

「雲吞という組織を、聞いているよな」

「はい、私がかつて属していた組織ですね」

再葉は雲吞に保護されて、不死者になった。

身寄りはない、孤児だ。彼女は両親の姿さえわからない。

どこにいるのか、今生きているのか。

残念ながら、それを調べる方法は残っていなかった。


「裏の世界では、そんな身寄りのない子供に実験をして再葉から普通を奪った」

「はい、不死者です。でも、実感がありません。

もうすぐ、私は死ぬのでしょう」

「そんなことはない」

「若葉は隠している、健斗も隠している。

でも私は、なんとなくだけどわかる。

私の残された時間は、はそんなに長くないのだと」

再葉の中でも、自分の体で起きていることがわかるようだ。

それでも、俺は再葉に言わないといけない。


「俺は、絶対に再葉を救う。どんなことがあっても、再葉を救う。

そのためにも、再葉……君の心が大事なんだ」

記憶を取り戻す、それは俺ができることではない。

できるのは再葉で、俺はサポートしかできない。

再葉の記憶を戻せるのは、再葉だけなのだ。


「私の心?」

「再葉は、思い出したいんだろ。あきらめるなよ」

「健斗……私はあなたを信じていいのですか?」

「当たり前だろ、それに……」

そんな俺と再葉の二人しかいない公園に、もう一人の人間が入ってきた。

それは、制服姿の女。


「この私も、援軍として参加するのだから」

それは中本だった。



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