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俺のそばには、しゃがんでいる再葉がいる。
肩を出したワンピースの再葉と距離が近い。
アルバムを一緒に見ながら、再葉が質問をする。
「これは、松原さん?」
「ああ、響だ。響はこの近くに住んでいるからな」
「そう、いじめていたという」
再葉をいじめている響、中学三年のことだ。
だけどそれも再葉は、忘れてしまっている。
忘れていることは都合がいい、だけど記憶がなくなることは嫌だ。
辛いことさえも、なかったことにされてしまう。
「この子は?」
「ああ、近所の女子だよ。俺は……」
「女の子ばっかりですね」
俺のアルバムのほとんどに、女子がたくさん写っている。
カメラが好きな俺の二人目の姉が、撮っているわけだが。
そのほとんどの写真に、女子が写りこんでいる。それも、多種多彩だ。
「恥ずかしながら、男性の友達がいないんだ」
「どうして?」
「同族嫌悪なのか、男性と話があまりあわない。
別に女子系男子を、俺が目指しているわけでもないけどな」
「確かに男っぽい、かも」
「なんだよ、まあ子供のころは姉の化粧の実験台だったけどな」
俺には三人の姉がいる。
いずれも少し年が離れていて、母親に近い感覚だ。
「でも、小さいころの健斗は楽しそう」
「再葉のアルバムも、みたいな」
「若葉はないと言っていました」
「そうだろうな、だからこれを頼んだ」
そう言いながら、俺はスマホを取り出した。
スマホを操作し、一人の協力者を呼び出すことにしていた。




