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再葉には、『運命』というメモ帳がある。
それは時間の流れが唯一違うチュパカブラが書いた、再葉の未来だ。
俺はそのメモ帳とは違う、自分のメモ帳を作っていた。
そこには正しい運命も、未来を見てきた確約もない。
ただ、俺の思いと意思を詰めたデートの予定表が書いてある。
最初の項目は、俺の家に連れていくことだ。
両親が仕事でいない朝七時。俺はマンションの自宅に再葉を連れてきた。
俺の部屋に案内した再葉は、部屋の中を見回す。
机とベッドと小さなテーブルが置かれた、男の部屋。
漫画は置かれているが、パソコンのない部屋だ。
「いいだろ、俺の部屋」
「はい、健斗のにおいがします」
「ああ、そうだな」
再葉は記憶を失ってから俺の部屋に来るのは、初めてだ。
「卑猥な本はないの?」
「ないよ」
「ほんとに?」
「ほんとだ」
そんな俺は、自分が書いたメモをちらりと見る。
内容を確認した後、俺は本棚に近づいた。
「その代わり、再葉に見せたいものがあるんだ」
「見せたいもの?」
「俺の記録だよ」
そういいながら俺は、アルバムを取り出していた。




