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香音と再葉は、ずっと学校で一緒にいた。
これだけ長い間いると、再葉のことをよく知っているだろう。
それは、再葉と行う究極のデートで必要な情報があるかもしれない。
「香音は、ずっと再葉と一緒にいた。
だからこそ、再葉は香音に心を許していた部分があるんじゃないか?」
「そうね、だけど香音は仕事上の付き合いよ」
「仕事上か、これまたドライだな」
「彼女はどう思っていたか、わからないけど……」
「少なくとも再葉は違う」
「なぜ、それが言いきれるの?」
俺は再葉の素の顔を、知っている。
知っているからこそ、俺ははっきりと言えた。
「再葉は、とても感情豊かだから」
「そうなのね、そうかもしれないわ」
「俺は彼氏だぜ」
「恥ずかしげもなく、よく言えるわね」
香音の言葉、俺は言って少しだけ後悔していた。
「と、とにかくだ。再葉の趣味とか教えてほしい」
「残念だけど、彼女はこれといった趣味はないと思う」
「そうか」
「ただ、ロマンチストであることは間違いないわね」
その言葉に、俺は心当たりがあった。
再葉が好きなところは、景観のいい場所が多い。
「そういった意味だと、彼女は人間らしいともいえるな」
「そうね」
「後は何か……」
「高いところが、とても好きなのよ」
「そうか」再葉が、高いところは本当に好きなのだろう。
だけど、俺にはそれと同時にタワーのあの時のあの光景がすぐに蘇った。
あまりにも衝撃的で、悲劇的で、絶望的な出来事。
「デートプランには、高いところを入れた方がいいわね」
「善処する」
「そういえば、美来様にはもう面会した?」
「え?美来は病院に運ばれて……」
「ついさっき、メールが来たのよ」
そういいながら、香音が俺のスマホ画面を見せてきた。




