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一年彼女  作者: 葉月 優奈
十一話:一年彼女が死ぬ運命
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再葉は突然、静かに苦しみだした。

それは、再葉の体が弱っていることを意味していた。

今まで、再葉にそんな異変が出てこないことがおかしかった。

呼吸を乱した再葉を寝かせて、若葉が再葉の部屋に来ていた。


「再葉は、大丈夫なのか?」

「ええ、だけど彼女の体は悲鳴を上げているわ」

「そうか」俺は首を横に振っていた。

俺は険しそうな顔の若葉を、じっと見ていた。

静かに眠る再葉は、目を覚まさない。


「体の悲鳴か」

「再葉は、不死者になるために多くのことを犠牲にしているわ」

「中本の資料を見た、雲吞の時の再葉は……優秀だったんだな」

「そこまで調べているのね」

若葉は、残念そうな顔を見せた。

彼女にとっては、中本と手を組んでいるのが面白くないのだろう。


「中本は、俺のクラスメイトだ」

「そうだったわね、それで何かわかったの?」

「再葉は、とても優秀な不死者であることがわかっている。

それゆえに、体の負担が多かった。

実験もほかの二人より、多く繰り返されてきた」

「まあ、雲吞も金のために彼女たちを育てていたから。

私もいけないのだけど」

若葉はもともと雲吞の人間だ。

だから、そこに対しては罪を感じているのだろうか。


「若葉さんは、なぜ雲吞に?」

「私は家に居場所がなかったから」

「居場所か……不死者を殺す一族だった……」

「ええ、私は優秀だったの。

家の中では、高い地位にいた。

そんな中で、雲吞が実験していた人工不死者の討伐をしたのだけど……小さな女の子だった」

若葉が辛そうな顔で、話を始めた。


「あ、しんみりした話だから」

「いや、その女の子を殺せなかったんじゃないですか?若葉さんは」

「そうね、そのとおりよ」

若葉は眠っている再葉を見ていた。


「怯える年端もいかない小さな女の子。

それは、美来の姉なのよ」

「美来の姉、彼女はどうしたんですか?」

「殺されたわ。美来を守って」

「そうなのか、ごめん」

俺は、落ち込んだ若葉の意図をようやく理解した。

だけど、若葉は眠る再葉を見ていた。


「それでも、私は再葉を失わせたくない。

彼女たちは、人間として生きる権利があるのだから」

それは、若葉の心の叫びのようにも聞こえた。



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