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両手をついて、俺が再葉を見ている。
この体勢で、再葉を見るのは初めてだ。
意外と、恥じらう再葉もかわいい。俺を見る目が、感情的だ。
「再葉、好きだ」
「え?」
「俺は再葉が好きだ、これはもう止められない」
「なぜ……あの時……」
再葉が顔を赤らめて、つぶやく。
その言葉を、俺は聞き逃さなかった。
「再葉……思い出したのか?」
「わからない……けど」
「再葉、俺は勇気がなかった。
再葉のことが本当に好きだという確信もなかった。
だけど今は違う、はっきりしている。
俺は再葉が、好きだったってこと。
なんで言えなかったんだろうな、たった一言なのに」
自分を俺は責めていた。響のことを、俺は非難する権利はない。
責めていても、再葉に思いが伝わることはない。
だけど、再葉にこうして会えた。だから再葉に伝えないといけなかった。
「これから、俺といっぱいデートしてくれるか?」
「はい」
「俺の彼女でいてくれるか?」
「はい」
「俺を好きでいてくれるか?」
「は……」だけど最後の言葉を言う瞬間に、再葉の様子がおかしかった。
なんだか、眠そうな顔に変わり目をつぶっていた。
急に呼吸も乱れて、苦しい。
「再葉……」
「ダメ……苦しい」
「再葉、しっかりしろ!」
俺の前にいる再葉は、苦しみだした。
それは普通ではない、恋の苦しみではない。
俺はそんな再葉を見ながら、俺はあることを思い出した。
(記憶を戻さないと、再葉は死ぬ運命だ)
その時が迫っているのか。カレンダーの日付は七月十四日を示していた。
それは、運命の日まであと二日と迫っていた。




