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それから三時間後、俺は再葉を呼んでいた。
再葉を呼んで、歩いているのがショッピングモール。
俺の隣にいる再葉は、涼しそうな水色のワンピースを着ている。
長い髪をなびかせて、制服姿の俺と歩いていた。
「健斗、臭い」
「いきなりそれかよ」
制服姿で、一日中ネットカフェにこもっていたから無理もない。
「一応デート前だから、シャワーだけはちゃんと浴びたんだけどな」
「タバコ臭い」
「タバコなんか吸っていないって、あっ!」
俺は思い出した。近くのおっさんが、たばこを吸っていたよな。
制服がヤニ臭いのは、そういうところだろう。
「健斗が急にデートしたいなんて、夜にどうしたの?」
「急じゃない、俺は考えたんだ」
俺は真剣な顔で、再葉の手を大事に両手で握る。
それを、再葉はじっと俺を見ていた。
「再葉の記憶の戻し方」
「私の記憶……」
「再葉は、記憶を失っているのは、若葉さんから聞いているよな?」
「はい、そのようです」
再葉の顔は、ぼんやりとしていた。
記憶を失っている人間は、そのことにすら気づかない。
「再葉の過去を見て、俺は確信した。
再葉は、記憶を失いたかったのではないかと」
「記憶を失いたい?」
「再葉が不死者になった日、そこからの記憶。
だけど、今は時間逆流も起こらなくなった。再葉はもう普通の女の子だ」
「うん」俺の話を、真剣に来ている再葉。
「だから、楽しいことをしよう。
俺といっぱいデートをしよう。
時間の許す限り、時間が続く限り」
「健斗……なんで泣いているの?」
「泣いてなんかいない」しかし、俺は泣いていた。
泣いている俺を、再葉はじっといていた。
「わかった」
「そこで、俺と再葉の出会いのきっかけになった過去に会おうと思う。
これは、再葉でもあり、彼女にも精算させてあげたいから」
「精算させる?」
「君に会わせたい人がいるんだ」
そういいながら、たどり着いたのが俺のバイト先。ファーストフード店。
そこで、一人の女がレジの前で接客をしていた。




