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一年彼女  作者: 葉月 優奈
十話:一年彼女の運命の時
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中本を、ここに呼んだのは俺だ。

彼女に、頼んだことがあるからだ。

彼女からもらった封筒の中身を、俺は確認する。


「これが、再葉の雲吞時代のデータよ」

「ありがと」

資料を目に通す。何らかの数値が出ているが、それはわからない。

わからないが、再葉と中本、美来の数値は不死者の何かの情報であることはわかる。


「雲吞は、なぜ再葉を欲しがっているんだ」

「再葉は、優秀だからよ」

「いや、そんなんじゃない」

俺は難しい顔を見せた。


「再葉の価値は、不死者なのか?」

「ええ、不死者。不死者の兵器を、国相手に売りつける。

これが、私たち不死者の価値でしかない」

「なるほど」

不死は確かに魅力的だ。

だけど、その力はあまりに危険だ。

兵器転用してしまえば、たちまち世界のバランスは崩してしまうだろう。


「私たち化け物は、そういう価値しかない」

「そんなこと言うなよ、中本は普通の女子だから」

「それは……そう見えるの?」

「ああ、学校にいるときは普通の女子だろ。

男子からも人気あるし、俺が中本と話をしていると男子の嫉妬の視線が飛んでくるし」

俺の言葉に、目を大きくした中本。


「え、そうなの?私は……」

「だから、お前は普通なんだ。

何も意識しなくても、普通にしていれば普通だから」

「そう……うれしい」

「え?」凛とした美人の中本が、不意に照れた顔を見せた。

その顔は、単にかわいい。だけど、俺はすぐに資料に視線を向ける。


「そうだな、中本」

「な、なに?」

「中本、この記憶に関してだけど」

俺は中本に、資料を持ったまま声をかけた。


「再葉のこと?」

「ああ、再葉は不死者ではないんだな」

「初めはそうよ。全員不死者で生まれたわけじゃない。

だけどオリジンのチュパカブラが力を与えて、私たちが生まれた」

「再葉は、普通の子供だったと?」

「多分、孤児ね。死んでも消えても、何の影響も与えない人間。

表の世界の存在感のない人間が、裏の世界に招かれるものなの」

「なるほどな。そういうことか」

「何がわかったの?」

「再葉は知らないんだ、アレを」

俺はそういいながら、ある決意をした。

そのまま、俺はスマホで連絡をしていた。



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