128
中本を、ここに呼んだのは俺だ。
彼女に、頼んだことがあるからだ。
彼女からもらった封筒の中身を、俺は確認する。
「これが、再葉の雲吞時代のデータよ」
「ありがと」
資料を目に通す。何らかの数値が出ているが、それはわからない。
わからないが、再葉と中本、美来の数値は不死者の何かの情報であることはわかる。
「雲吞は、なぜ再葉を欲しがっているんだ」
「再葉は、優秀だからよ」
「いや、そんなんじゃない」
俺は難しい顔を見せた。
「再葉の価値は、不死者なのか?」
「ええ、不死者。不死者の兵器を、国相手に売りつける。
これが、私たち不死者の価値でしかない」
「なるほど」
不死は確かに魅力的だ。
だけど、その力はあまりに危険だ。
兵器転用してしまえば、たちまち世界のバランスは崩してしまうだろう。
「私たち化け物は、そういう価値しかない」
「そんなこと言うなよ、中本は普通の女子だから」
「それは……そう見えるの?」
「ああ、学校にいるときは普通の女子だろ。
男子からも人気あるし、俺が中本と話をしていると男子の嫉妬の視線が飛んでくるし」
俺の言葉に、目を大きくした中本。
「え、そうなの?私は……」
「だから、お前は普通なんだ。
何も意識しなくても、普通にしていれば普通だから」
「そう……うれしい」
「え?」凛とした美人の中本が、不意に照れた顔を見せた。
その顔は、単にかわいい。だけど、俺はすぐに資料に視線を向ける。
「そうだな、中本」
「な、なに?」
「中本、この記憶に関してだけど」
俺は中本に、資料を持ったまま声をかけた。
「再葉のこと?」
「ああ、再葉は不死者ではないんだな」
「初めはそうよ。全員不死者で生まれたわけじゃない。
だけどオリジンのチュパカブラが力を与えて、私たちが生まれた」
「再葉は、普通の子供だったと?」
「多分、孤児ね。死んでも消えても、何の影響も与えない人間。
表の世界の存在感のない人間が、裏の世界に招かれるものなの」
「なるほどな。そういうことか」
「何がわかったの?」
「再葉は知らないんだ、アレを」
俺はそういいながら、ある決意をした。
そのまま、俺はスマホで連絡をしていた。




