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俺は一度、中本に騙されていた。それだけじゃない、随分と俺は中本にひどい扱いも受けた。
だから、中本を信用しているわけではない。
中本がどういう態度でいても、俺は彼女に心を許すことはできない。
それでも、俺は彼女に話すことがあった。
「俺は、中本に聞きたいことがある」
「何?」
「再葉は、どんな子だったんだ?」
「優秀な子。雲吞の中で、最も寵愛されていた」
「優等生ということか?」
「あなたは会ったのでしょ、チュパカブラに」
中本は、鋭く俺に言っていた。
「ああ、会った」
「チュパカブラの血液から、私たちは作られたの。
それでチュパカブラの血と、私たちの体が対応するからどうかで決まる。
その数値が一番高く、不死者に限りなく近い再葉は優等生なの」
「優等生ねぇ」
「私も不死の力を得たけど、不完全なの。
時間逆流が次々行われるが、いずれ人外の存在になる。
そうなれば、私はユズリハに殺されるでしょうね。
若葉が最後、私を殺す運命よ」
中本が、冷静に言っていた。
自分の死期を、中本は理解している。
「それも、チュパカブラの運命か?」
「ええ、彼の運命は絶対だから」
「そんな運命、変えろよ。中本!」
俺は叫んだ。それを聞いて、中本が驚いた顔を見せた。
「どうして、チュパカブラは未来を見て運命というのよ。
それを変えることは……」
「俺は変える。運命は変えられる。
再葉が死ぬ未来なんか、俺は嫌だから」
「本郷……あんた」
俺は強気の顔を見せた。
中本は、そんな俺をどこかうらやましそうな顔で見ていた。




