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一年彼女  作者: 葉月 優奈
十話:一年彼女の運命の時
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いきなり土下座をした若葉。

その顔は、彼女の誠意が伝わってきた。

ソファーに座っている俺は、困った顔を見せた。


「若葉さん、やめてくださいよ」

「いえ、あなたに謝らないといけない。

私たちの世界で、私たちが救わないといけないのに……」

上げた顔の目に、涙がはっきりと見えた。声も涙声だ。


「若葉さん」

「私は、再葉を救うために雲吞を抜けた。

それは、間違っていないと思った。

だけど、再葉の運命を死へと追いやっていたのね。

私がやっていたことは、再葉を殺そうとしていただけだから」

「それは違いますよ」俺はきっぱりと否定した。


「え?」

「再葉は、少なくとも幸せだった。

俺と一緒にいたときも、俺は幸せだった。

雲吞にいた再葉のことは、俺は知らないけれど。

だけど、俺との一年彼女は少なくとも幸せだったと俺は思う。

俺は再葉を、再び幸せにしたいんだ。いや、幸せになるべきだ」

「本郷君……」若葉は、俺を羨望のまなざしで見ていた。


「ありがとう、再葉の彼氏になってくれて」

「だから今は、メモ帳と向き合うべきだわ。

再葉を救うヒントが、ここに書かれているのだから」

「ええ、これはあなたに渡すわ」

若葉は、俺にメモ帳を託した。

俺は若葉から、メモ帳を大事に受け取った。


俺は真剣な顔で、メモ帳をパラパラとめくってみる。

そこには、俺と一緒に行ったデートの場所が書かれていた。

懐かしくもあり、デートの詳細も事細かに書かれていた。

そのうえで、デートの台本のようでもある。

これが運命で、チュパカブラが書いたことなのだろうか。


(なるほどな……ん)

だけど、俺はある一文を見ていた。

それは再葉が書いたものだろうか、殴り書きで書かれた一文に目を奪わせた。


(そうか、そうだったんだ)

それは再葉の秘めた思いが、込められた言葉だった。



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