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俺は、すぐさま携帯電話から呼びつけられた。
メールの差出人は若葉だ。それを見て、俺は遠くのモールから急いで再葉の家に来ていた。
手狭なリビングに、俺と向き合うのは若葉だ。
若葉の手には、白いメモ帳が見えた。
「見つかったのですね」
「ええ、再葉の部屋にあったわ」
「そうか」若葉が持っているのは、あの白いメモ帳。
再葉が、『運命』というそれはあのメモ帳のことだろう。
チュパカブラが書いたとされるメモ帳に、俺とのデートの記憶がある。
「これで再葉を救える」
「ええ、あなた次第だけど……ね」
「俺は再葉を救いたい」
若葉の問いは、憂いにすらならない。
俺がここにこうしてきているのは、再葉を救うためだ。
そのために、俺はどんなこともする覚悟はできていた。
「ねえ、本郷君に聞きたいのだけど?」
「なんですか?」
「チュパカブラに何を言われたの?
彼に呼ばれて、あなたと二人で話した時に」
「それは……」
「ちゃんと答えて」
俺にいきなり迫ってきた若葉。スーツ姿の眼鏡の女が、俺をじっと見ている。
眼鏡の中にある目は、とても険しい。
俺は首をひねりながら、若葉の方を見ていた。
「聞きたいんですか?」
「チュパカブラは、いつも大事なことは伏せるの。
それでありながら、大事なことは後になってわかって混乱するのはこっちなの!」
「チュパカブラは、雲吞なのか?」
「いえ、雲吞ではないわ」
「ではユズリハなのか?」
「それも違う、どちらにも加担していない」
目をつぶった若葉は、首を横に振っていた。
「単に、彼はこの状況を面白がっている傍観者。
おそらく再葉のことも、大事だとは思っていないわ」
「まあ、そうだろうな」
「だから、聞きたいの。なぜ、あなたなのかを。
チュパカブラが、どうしてあなたを呼んで二人きりで話をしていたのかを」
再度若葉は、俺に対して答えを求めてきた。




