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一年彼女  作者: 葉月 優奈
一話:一年彼女と出会いの日
12/161

012

俺は初めから秘密を多く持つ再葉に、気になっていた。

同じクラスではあるものの、なぜ俺なのかを。

俺に告白をさせて、デートもさせた。

その行動は、常に胸元のメモを見た後に行われている。


「本郷君……ちょっと」

「悪いけど……えっ!」

だけど、俺の手は簡単に空を切る。

再葉の体が、一瞬にして消えた。

いや、消えたのではない。再葉は後ろに下がっていた。


「再葉……そのメモが運命だろう。

俺は再葉に何をすればいい?俺は再葉を彼女にして……」

「これは教えられない!」

再葉が困った顔を見せつつも、俺は再葉との間合いを詰める。


あのメモを、再葉はあれだけ必要に隠す。絶対何かあるはずだ。

あのメモを手に入れたい気持ちが、さらに強くなっていく。

甲板に手を伸ばす俺と、胸のポケットのあたりに手を押さえている再葉。


「いいだろ、俺はもう彼氏なんだし」

「彼氏でも見せられないの……ごめんなさい」

「だけど、俺は再葉のためを……」

俺が再び手を伸ばすが、再葉は後ろに下がって俺の手をよけていく。

その再葉の背中には、甲板の手すりだ。

白い手すりが、彼女の背中に当たっていた。


「本郷君、やめて!」

「どうしてだよ?俺を信用していないのか?俺は彼氏じゃないのか?」

「彼氏でも……」

「俺に愛はないのか?」

俺はしっかりと再葉を見ていた。


今の俺は、再葉の彼氏だ。

告白をしたとはいえ、それは再葉が望んだこと。

だとすれば、お互いを知ることは人間関係としてとても大切なことだろう。


「本郷君は……」

「その名前で俺を呼ぶことは、俺と彼氏になる理由は別にあるな」

「そうじゃない、私が選んだの」

「だったら、なんで俺を選んだ?

俺たちの学校は共学だし、俺は別にイケメンとか成績優秀とかではない。

ほかにも男はたくさんいるだろう。なぜ俺なんだ?」

「健斗が魅力的だから」

再葉は、たまに俺のことを名前で呼ぶ。

それは、彼女の感情からなのだろうか。やはりよくわからない。

そんなことを考えながらも、俺は後ろが手すりに再葉との距離を詰める。


「とにかく俺にメモを見せてくれないか?」

「どうしても……ダメっ!」

「どうしてもかよっ!」俺は再葉の方に、一気に飛び掛かった。

飛び掛かったが、俺の真横を再葉が抜けていくのが一瞬見えていた。

そのまま飛び込んだ俺は、手すりに手をつかもうとしたが強いジャンプで低い手すりをつかめなかった。


「え?」

それはほんの数秒後の出来事だった。

俺の体は、船の外に体が逃げていた。


「ごめんなさい」

再葉の一言が聞こえたかと思うと、俺はそのまま湖にダイブしていた。

大きな水しぶきを上げて。



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