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恵理那は迷うことなく入るそこは、狭い店舗に多くのアクセサリーが売られていた。
ほかにもぬいぐるみや、文房具、カラフルな店内が見えていた。
何より客層が、女性が多い。年齢層も、小学生からいるようだ。
「これなんかどう?」
恵理那が、指輪を見せてきた。
本物の宝石ではないが、キラキラ輝く石を加工された指輪。
大きな石が、光っていた。
「ああ、いいんじゃないか」
「本郷君は、よく来るの?」
「俺、男だぞ」
「でも、お姉さんがいるんでしょ」
「まあ、姉貴の買い物の時は大体近くの本屋に行っている」
「ふーん」
このファンシーショップの真正面に、広い本屋がある。
俺はいつも家族でこのモールに来た時には、その本屋に行く。
姉貴の買い物は、特に長いからな。
「だけどね、女の子は一緒に買い物をしたいものなのよ」
「そういうものかね?」
「そういうもの。買い物をしなくても、ダダ見るだけでうれしいの。
四十万さんでしょ、本郷君」
「恵理那……」俺は驚いていた。
だけど、恵理那はじっと見ていた。
「だって、本郷君はずっと一途に思っているから。四十万さんのこと」
学校では再葉は、転校したとなっている。
記憶を失って、今ははかない命の再葉の状態を恵理那は知らない。
「まあ、そうだけど」
「四十万さんと、何度か話したことがあるけど」
「本当か?」
「あの子は、とても素直な子だわ。
だけど……どこか影がある」
再葉は、秘密を隠して生きている。そのことが、恵理那も気になっているのだろう。
「やはりそうだよな」
「これ、かわいい」そんな中、恵理那が手に持っていたのはぬいぐるみだ。
「それは……」青いネズミの、ぬいぐるみを抱きかかえる恵理那。
「ノケモンのブルーマウスよ、知らないの?」
「昔はやっていたな、そんなぬいぐるみがあるのか」
「ええ、女の子はいつだってかわいいものが好きなのよ」
恵理那は、どこか嬉しそうだ。
この店に入ってから、ずっと笑顔でいる。
「四十万さんにも、何かぬいぐるみを買ってあげたら」
「そうだな……」そんな折、俺のスマホが突然なった。
それは、メールだ。俺はメールの中を確認して、目を大きくした。
目の前で楽しむ恵理那に、俺は声をかける。
「恵理那、急だけど俺は行くところがある」
「何、どうしたの?」
「悪い、また今度」俺はそんな言葉を残して、そのまま店を去っていった。
そのまま、恵理那を一人残して走っていった。




