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夕方、俺はショッピングモールに来ていた。
いつもバイト先があるこのモールは、仕事以外で来ることはあまりない。
それも、俺の隣には女がいる。だが、それは再葉ではない。
「恵理那と一緒か」
「不満?」
「いや、そうじゃない。」
「だったらいいじゃない」俺と恵理那は一緒に放課後、このモールに来ていた。
「で、デートだけど」
「本当は男が考えるデートについていくのが、女としてはいいのだけど」
「まあ、それはわからなくもないが」
「だけど、理想はあるの」
恵理那は、俺の少し前を軽快に歩く。
そんな彼女の前には、下着の専門店が見えた。
「そこに入りたいのか?」
「え、あ、違うわよ。ここじゃないの!」
慌てて否定する、恵理那。
そのまま、恵理那が離れるように前を走り抜けていく。
「じゃあ、どこに行くのか?」
「この辺りで、何気ない会話をすること」
「なるほど」
「掛川だと、モールが一番よね。少し離れると海もあるし」
「海か……」確かに、この町の南に海がある。
海水浴場もあり、海と面している。
「そうね、海水浴とかじゃなくて静かな海とか」
「そういう場所は、わからないんだよな」
「そんなの、ネットで調べなさい」
恵理那が、身もふたもないことを言い放つ。
まあ、それをしても再葉の気持ちを揺れ動かすデートができるかわからない。
これは、再葉の命がかかっているデートだ。
「後はプレゼントとかいいわね」
「プレゼントか?」
「そうね」そんな中、ファンシーショップが俺と恵理那の前に見えてきていた。




