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翌朝、俺は学校に来ていた。
それはいつも通りの学校までの道。
制服姿の俺は、頭の中を動かしながら歩いていた。
(メモ帳か、再葉の家から突然消えたんだよな)
再葉がタワーから飛び降りた後、メモ帳がいずこかへ消えていた。
そのメモ帳には、何が書かれているか俺はわからない。
ただ、再葉はいつもあのメモに従って俺とデートをしていた。
しかし再葉のメモは、現在は調査中。その件は若葉に任せるしかない。
「ケンタっ!」俺の背後から、声が聞こえる。
俺が振り返ると、そこには飛鳥が来ていた。
人懐っこい飛鳥が、俺の背中から抱きついてくる。
「こら、離れろ。飛鳥」
「ケンタ、最近おかしいよ」
「またそれか……」
「三日も学校休んだし」
「そうだな」俺は、ずっと休んでいた。
倉庫に、ビルに、表の世界とはかけ離れた裏の世界に軟禁されていた。
久しぶりの学校で、俺はこちらが日常だ。
「なあ、飛鳥」
「何?」
「飛鳥は、デートとかしたことあるか?」
「うーん、あるよ」飛鳥は、迷うことなく言ってきた。
「意外だな、飛鳥がデートとか」
「ボクだって、デートするよ。
それともケンタは、ボクとデートしたいの?」
「いや、そういうわけじゃないけど……どんなデートだったんだ?」
「普通だよ。ショッピングでスポーツ用品店に行ったり、サッカーを見に行ったり」
「スポーツ関係、多くない?」
「まあ、陸上部だからね。先々週も行ったし」
「へえ、すごいな」意外な飛鳥の一面が見れたような気がした。
俺と再葉の趣味は……残念ながら合わない。
そもそも再葉の趣味といったら、ゲームだろうか。
ゲーセン通いで、音楽ゲームをしている程度。
俺はあまりゲームをやらないし、再葉と趣味は合わない。
「飛鳥の彼氏は、どんなやつだ?」
「ボク、彼氏はいないよ」
「え?」
「女の子同士だって、ちゃんとデートできるから」
「多分、それは違う」
俺は飛鳥の言葉に、首を横にひねっていた。
そんな飛鳥と歩く俺の前、三日ぶりに学校の校舎が見えてきた。
その校舎の前では、一人の生徒が校門前で登校する生徒を見張っていた。
「あ、今日は服装検査の日だった」
そこには恵理那が、すでに校門を阻むように立っていた。




