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俺が通されたのは、少し薄暗い部屋だ。
それは、監禁されたあの倉庫に雰囲気が少し似ている。
最もここはオフィスの一室で、会議室なのだが。
「君に興味があった」チュパカブラと一緒だ。
人間ではないチュパカブラは、俺をじっと見ていた。
「オリジンの不死者……再葉は記憶が戻るのか?」
「それはあなた次第だ」
俺の言葉に、俺を指さして答えるチュパカブラ。
独特なしゃべりの間で、ゆったりと話してきた。
「俺次第なのか?」
「その前に、まずはあなたを救わないといけない。こっちに……おいで」
「何をするつもりだ?」
「君の時間が、早く流れている」
「早く流れる?」
「覇王弓の矢を人間が受けると、時間が早く流れてしまう。
それは、つまり運命という君の時間が流れてしまうのだ」
「運命?」俺は首を傾げた。
それでも、チュパカブラは俺に対して怪しく手招きをしていた。
ぼんやりと俺は、チュパカブラの方に近づく。
すると、チュパカブラは俺を強い力で抱きしめた。
「うわっ!」
「君を救うためだ」
「俺を救うだと、ううっ!」
次の瞬間、チュパカブラの顔が俺の首筋に顔を近づけた。
その顔は、悪魔のような顔に変わっていく。
チュパカブラの変貌した顔を見た瞬間、俺は怯えていた。
「一体何を……ああっ!」
だけど、俺がしゃべる間もなく俺の首筋をかみついてきたチュパカブラ。
そのまま、俺の首筋から血を吸っている。
「や、やめろ!やめろ!」
だけど、俺の震えた声を全く聞いていない。
そのままチュパカブラは、俺の血を吸い続けていた。
そんな俺の体は、なんだか少し軽く感じられた。
(なんだ、この感覚は)
俺の体が、筋肉が硬直していた。
三十秒ほど、俺の血を吸い続けたチュパカブラは顔を上げる。
俺の首筋から、血が細く流れていた。
化け物のような、怖い顔をしたチュパカブラはいつも通りの面長の顔に戻る。
「あんたは?」
「君は、もう少しで死ぬところだった」
「え?」
「君の受けた覇王弓の矢の正体、それは時間の激流だ」
「激流?」
「わかりやすく言うと、君の体に流れる寿命はとても短くなるということだ」
その言葉を聞いて、俺は驚きしかなかった。
「俺の寿命?」
「まあ、それを取り除いた。君はこれで大丈夫だよ。少なくとも、再葉よりは先に死なない」
「え?再葉は不死者なのか?」
「彼女は若葉の爆弾で、不死者の力を失いつつある。
それでも、彼女の潜在能力は永遠に消えない」
「時間逆流は、もう起きていないんだよな?」俺の言葉に、チュパカブラは頷いた。
「そう、起きていない」
「ならば再葉は……どういう状態なんだ?」
「一言でいうと、もうすぐ死ぬ運命だ」
「え?」俺は驚きでしかなかった。




