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一年彼女  作者: 葉月 優奈
九話:一年彼女の原材料
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俺が通されたのは、少し薄暗い部屋だ。

それは、監禁されたあの倉庫に雰囲気が少し似ている。

最もここはオフィスの一室で、会議室なのだが。


「君に興味があった」チュパカブラと一緒だ。

人間ではないチュパカブラは、俺をじっと見ていた。

「オリジンの不死者(ノスフェラトゥ)……再葉は記憶が戻るのか?」

「それはあなた次第だ」

俺の言葉に、俺を指さして答えるチュパカブラ。

独特なしゃべりの間で、ゆったりと話してきた。


「俺次第なのか?」

「その前に、まずはあなたを救わないといけない。こっちに……おいで」

「何をするつもりだ?」

「君の時間が、早く流れている」

「早く流れる?」

「覇王弓の矢を人間が受けると、時間が早く流れてしまう。

それは、つまり運命という君の時間が流れてしまうのだ」

「運命?」俺は首を傾げた。

それでも、チュパカブラは俺に対して怪しく手招きをしていた。

ぼんやりと俺は、チュパカブラの方に近づく。

すると、チュパカブラは俺を強い力で抱きしめた。


「うわっ!」

「君を救うためだ」

「俺を救うだと、ううっ!」

次の瞬間、チュパカブラの顔が俺の首筋に顔を近づけた。

その顔は、悪魔のような顔に変わっていく。

チュパカブラの変貌した顔を見た瞬間、俺は怯えていた。


「一体何を……ああっ!」

だけど、俺がしゃべる間もなく俺の首筋をかみついてきたチュパカブラ。

そのまま、俺の首筋から血を吸っている。


「や、やめろ!やめろ!」

だけど、俺の震えた声を全く聞いていない。

そのままチュパカブラは、俺の血を吸い続けていた。

そんな俺の体は、なんだか少し軽く感じられた。


(なんだ、この感覚は)

俺の体が、筋肉が硬直していた。

三十秒ほど、俺の血を吸い続けたチュパカブラは顔を上げる。

俺の首筋から、血が細く流れていた。

化け物のような、怖い顔をしたチュパカブラはいつも通りの面長の顔に戻る。


「あんたは?」

「君は、もう少しで死ぬところだった」

「え?」

「君の受けた覇王弓の矢の正体、それは時間の激流だ」

「激流?」

「わかりやすく言うと、君の体に流れる寿命はとても短くなるということだ」

その言葉を聞いて、俺は驚きしかなかった。


「俺の寿命?」

「まあ、それを取り除いた。君はこれで大丈夫だよ。少なくとも、再葉よりは先に死なない」

「え?再葉は不死者なのか?」

「彼女は若葉の爆弾(リセット)で、不死者の力を失いつつある。

それでも、彼女の潜在能力は永遠に消えない」

「時間逆流は、もう起きていないんだよな?」俺の言葉に、チュパカブラは頷いた。


「そう、起きていない」

「ならば再葉は……どういう状態なんだ?」

「一言でいうと、もうすぐ死ぬ運命だ」

「え?」俺は驚きでしかなかった。



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