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俺は黒い矢が刺さっていた。
それは、俺の体にはっきり刺さったがすぐに消えた。
彤弓の矢と、どうやら同じ性質のモノらしい。
そんな俺は、今のところ体に何の変化もない。
「大丈夫なの?」
「ああ」声をかけてきたのは、美来だ。
よろよろとした美来は、俺の方を見ていた。
「何か変化はないの?」
「いや」俺はいつも通り変化はない。
そんな俺は、再葉を見ていた。
いつも通りの、落ち着いた再葉はゆっくりと歩いていく。
「どこに行く再葉?」
「トドメをさします」
それは、丁ではない。中本の方に、静かに歩いていた。
「お前、そんな奴だったのか?」
「はい」
「中本に手を出すな!」
「どうして?」
「お前は、手を汚してほしくないからな」
俺は、倒れている中本をちらりと見ていた。
「彼女が、好きなのですか?」
「それは違う」
「では、なぜ庇うのですか?」
「お前が好きだからだ、再葉」
俺は思わず言ってしまった。
それは俺が秘めていた、再葉に対する感情。
しまったと思い、俺は顔を赤くしている。
だけど、それでも再葉は冷静な顔で俺を見ていた。
「わかった、理解はできないけどあなたの提案を受けましょう。
あなたに助けられていますから」
「提案って」その言葉に、俺は苦笑い。
「それよりも……」
「みんな、大丈夫?」
そんな時、大きな倉庫のシャッターが開いた。
そこには、若葉が驚いた顔で俺たちを見ていた。




