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一年彼女  作者: 葉月 優奈
九話:一年彼女の原材料
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俺はあの弓が、彤弓に似ているものだと思った。

それは間違いないが、色は真っ黒だ。

大きな装飾もされていて、やはり弦だけしかない弓だ。

その弓を、再葉に向けて構えていた丁。


「口惜しいのだが」

「あれは……『覇王弓』」

叫んだのは、美来だ。

俺のそばにいた美来は、驚いた顔を見せていた。


「『覇王弓』?」

「そう、彤弓が不死者をなだめる弓ならば覇王弓は、消滅させる弓」

「マジかよ」

丁は、再葉に向けて狙いをつける。


「あの弓で矢が放たれると……」

「再葉は消滅する。どうやら丁は手に負えないみたい」

「そんなこと、俺は」

俺は立ち上がった。再葉も丁に気づいたが、呆然としていた。


「再葉、離れろ!」

俺はそういいながら、丁の前に立った。


俺は嫌だ、女の子に守られるのは。

俺は嫌だ、女の子が目の前で傷つくのを。

俺は嫌だ、何もできずに怯えているのを。


だから前に出る。

再葉を守るために、手を広げて弓の前に立つ。


「その矢を受けた人間は……」

だけど俺は美来の言葉を聞く間もなく、俺の体には黒い矢が刺さった。

丁は俺を見て、驚いた顔を見せた。


「お前……人間がその矢を受けると……」

「俺はそれでも再葉を守る」

それと同時に、再葉が俺の頭の上からとびあがって丁の前に着地した。

その赤い目は、はっきりと丁を睨んでいた。


「死んで」

冷たい一言を言いながら再葉は、右足を大きく蹴り上げていた。

その蹴りは、全く見えない一撃が丁を吹き飛ばしていた。

軽々と吹き飛ばされた丁は、そのまま太い鉄筋の柱に叩きつけられていた。



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