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俺は狙われていた。
倉庫の中で、唯一の一般人で非戦闘員は俺だ。
だから狙われるのは当然だ。
「俺を、撃ってくるなよ」
だけど、そんな言葉はどう考えても通用しない。
ここは戦場だ。俺は逃げ回るしかできなかった。
そんな倉庫の中でも、再葉は敵を引き付けていた。
雲吞の軍人が次々と再葉に襲ってくる。
だけど、再葉は冷静に赤い目で軍人を見ていた。
「消えなさい、死にたくなければ」
「それはお前だ」
「愚かなことを」
再葉は、すぐに消えた。いや、消えたんじゃない。
俺の目にも見えない速さで、軍人に攻撃をしていた。
軍人は人間だ、その再葉の動きはわからない。
わからないが、次々と倒れていく。
「な、なにが……」
「起こったんだ?」
そんなわずかな一瞬で、六人の軍人を倒していた再葉。
だけど、再葉の快進撃はとどまることを知らない。
俺に銃を向ける軍人に、照準を合わせて動く再葉。
「彼には、手を出させない」
「こしゃくな、不死者が」
「お前ごときが……」
だけどそのあとの言葉を、軍人が言うことはなかった。
彼の背後には一瞬だけ再葉が見えて、すぐに消えた。
肉眼で見えない再葉の動きに、軍人が完全に翻弄されていた。
「やはり見事だ」
「丁、あなたはあたしを手に入れたいといった。
だけど、それは絶対に叶わない」
「それはない、欲しいものは何でも手に入れる。
そうやって、この雲吞は大きくなってきた」
いつの間にか、俺のそばには美来がいる。
傷ついているが、意識がある。
「だけど、その快進撃もこれまでだ」
そんな丁は、大きな弓を構えていた。
その弓を見た瞬間、俺のそばにいた美来が驚いていた。




