105
四十万 再葉は普通ではない。不死者である。
だけど、いきなり出てきた再葉は中本を軽々と持ち上げた。
右手で、中本を持ち上げる再葉。
中本も、再葉を見下ろして不敵な笑みを浮かべていた。
「おかえり、優等生」
「私は優等生ではない。再葉」
「そう、それは残念ね。ねえ、私を覚えている?幼なじみの」
「知らない」中本に対し、きっぱりと言い放つ再葉。
その言葉を聞いて、ショックというかはどこか笑っているようにも見えた。
「ほら、やっぱり再葉は不幸になる。
これで分かったでしょ、再葉は記憶を失ったの。
若葉のところに行ってしまったから、この子は狂ったのよ」
「再葉、大丈夫か?」
「ええ、本郷君」俺の名前を、再葉に教えてある。
記憶がなくても、俺のことはわかる。
「再葉、戻ってくる気はないの?」
「戻る場所は、ユズリハ」
それでも、再葉は強く言い放った。
「そう、じゃあ優等生のあんたを再起不能にするしかないわね」
「そうね」
「あんたのことよ、わかっているの?」
「できるの?」
再葉が呆然とした顔で、中本に会話していた。
だけど、中本はすでに動いていた。
「するのよ!」
中本が大きな手で、再葉のことを殴りつけてきた。
だけど、その攻撃は大きく空を切った。
「消えた……」
「そうじゃない」
次の瞬間、中本の体が浮いた。いや吹き飛ばされた。
「ごふっ……」中本は、一瞬で背後に回り込まれた再葉の蹴りを食らう。
その回し蹴りが、中本を吹き飛ばしていたのだ。
(肉眼では全く見えない)
それは、赤い目の再葉の本当の姿だった。
再葉の動きに、奥で見ていた丁が微笑んでいた。




