表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一年彼女  作者: 葉月 優奈
八話:一年彼女の人ならざる姿
104/161

104

中本の強さは際立っていた。

手が大きくなって、足が針のように鋭くなる。

人の体さえも、簡単に貫く針のように。

そんな人間に対し、俺は驚愕な顔でこういうしかなかった。


「化け物だ」

「そうね、でも再葉もできるのよ」

「再葉はできぬよ」ボスと言われた丁が銃を持ったまま、俺に近づいてくる。


「そうね、できないのよね」

「ああ、お前はこの雲吞に残った。

不死者の体として、さらなる進化を遂げたのだ。

だから、今のお前の方が戦闘能力は高い」

「あら、それはうれしいわ」

そんな中本は、倒れている美来の頭をわしづかみした。

呼吸が乱れる幼女は、それでもまだ生きていた。


「あら、失敗作でも生きているのね」

「美来も、我ら雲吞の財産だからな」

「殺しちゃダメ?」

「芙蓉に任せよう」

「あら、じゃあ殺さないとね」

丁と中本は、俺の前で物騒な会話をしている。

俺の目の前で、俺を守った美来が口から血を流して倒れている。

呼吸はしているが、意識がないようだ。


「やめろっ!」

「お前は?」

「美来を傷つけるな!」俺は叫んだ。

だけどそんな俺は、連中の眼中にはない。

全く相手にされないまま、芙蓉が美来を投げ飛ばした。


「やめろっ、やめろっ!」

俺は半泣きで、美来が投げ飛ばされるのを見ているしかない。

情けない、情けない、情けない。

こんな小さな女の子に、俺は守ってもらうなんて。

しかも、こんな小さな女の子を助けることができないなんて。


「なんで、そんなことをする。中本、お前は……」

「黙れ!」

ボロボロの美来を投げ飛ばした中本は、ようやく俺を見た。

その目は赤く光り、はっきりと睨んでいた。

その目は、再葉の発作の時と同じだ。


「中本?」

「そんなに死にたいのなら、殺してあげる。

あなたも美来と一緒に、殺してあげるわ」

怪しく笑う中本は、俺の方にゆっくりと向かってきた。

その姿は、とても大きく感じられた。


中本の存在感は、とてつもない存在だ。

それは化け物のように体を自在に変える。

彼女の強さは、美来さえも圧倒していた。

中本は、大きな右手をグルグル回して俺の前に立っていた。


「一発で楽に……」

「楽にはさせない」

そんな中本の体が、突然浮かび上がった。

いや、浮かび上がったのではない。

それは、中本が何かにつかまれていた。


「やっぱり来たか」奥にいる丁は喜びの声を上げた。

そして、俺は驚いた顔を見せた。

そこには再葉がいたのだから。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ