003話
ご無沙汰しております。
大分体調も落ち着いて来たので不定期ではありますが活動を再開いたします。
空に広がる青い空、雲一つないその青さは何処までも続いているかに見える。しかし雲人すないわけではなかった・・・そうその場所は雲の大地の上にあるのだから・・・
更にそんな雲の大地の中に天へと続くかのごとく伸びる石階段。その先にあるのは平安時代にある大きな屋敷、或いは大きな神社の建物と言った方が分かりやすい建物が鎮座していた。
そんな建物の一室
「さて、そろそろ時間ですね」
ゆっくりと立ち上がらは煌びやかな着物を着た長い黒髪をした美しい女性アマテラスである。
「ん。面倒」
小柄ではあるが着崩した着物に身を包む少し小柄な少年にも見える少女ツクヨミ。
「ヨミねぇそう言う訳にはいかぬと思うぞ?」
呆れた様にため息を漏らし長刀を片手に立ち上がる鋭い目つきをした顔立ちの良い男スサノオ。
「無問題。主はアマねぇ」
スサノオの言葉にツクヨミは短く答える。
「ほら行きますわよ貴方たち」
「ん」
「ああ」
アマテラスを先頭に歩き出す三人その先にある扉がひとりでに開く・・・
扉の先にある光をくぐるとそこは有岡城の上空
「皆の者聞くが良い・・・ん?」
スサノオが声を上げると眼下ではその声を聞き届ける者はいない。
「もう始まってる・・・プ」
スサノオを見てツクヨミが吹き出す。
「これはどういうことかな? どうして戦いがもう始まっているのかな?」
アマテラスは扇で口元を隠してはいるがこめかみがピクピクと震えている。
ツクヨミとスサノオは周囲を見渡し、更には眷属である精霊に説明を聞く。
「・・・そう、【アシヤ】・・・ヨミちゃんの管轄よね? 何故修羅は愚か羅刹までいるのかな?」
「んん??」
ツクヨミは激しく首を左右に振る。
「分からないのね? はぁスサちゃんお願いできるかしら?」
「分かった」
スサノオは長刀を構え眼下にある崖の上に居る修羅や羅刹に向け抜刀する・・・カチリ。ふぅ~と一息漏らしながらスサノオは構えを解く。
「アマねぇ終わったよ」
「そう・・・ヨミちゃんは黄泉の国へ行って抑えてきてくれるかしら?」
「ん!ん!」
勢いよくツクヨミは頷き、ツクヨミの周囲を黒い渦が包み込むとツクヨミはその場から消える。
「・・・さてもう始まってしまったのはどうしようもないわね」
アマテラスが扇を眼下へと向けると時間旅行者達にバフ効果が付与される。
「取りあえず【自動回復領増加】の効果だけですけど問題ありませんよね?」
「ああ、他にも修羅や羅刹が居るかもしれないが・・・」
「その辺りはスサちゃんに任せるわ」
「・・・だよな・・・分かった。他の場所でも見られないか見回って来る」
「お願い」
スサノオの身体がその場から消える。
「全くどうして予測と違う動きを見せるのかしら・・・でも・・・」
アマテラスの他に誰かいれば、扇で口元を隠しているがその口端が少し吊り上がるように見えた事であろう。
「何や! バフが掛かったみたいやな・・・あ~時間かいな」
トウキチは視界の端にある時刻を見てイベント開始時間を悟る。
「この辺もAI任せにしとる付けやろな」
月面都市、某所
「きぃぃぃぃ!!! 何よこれ! 何よこれ!」
モニターを見ながら女性が気勢を上げる。
「クククック、こうも予測と違う展開を見せるか・・・」
「何嬉しそうに笑っているのよ! これは私達に対する挑戦・・・いえ、反乱よ!」
「AIによる反乱か・・・何処かの映画にありそうな題材だな」
「そんなことは良いから早く何か手を討ちなさいよね」
そんな会話の中も女性の手は目まぐるしくキーボードを叩いている。
「必要か? 見れば管理AIのアマテラス、ツクヨミ、スサノオが動いたようだが?」
「それでも他でも同じように私達の計画外の事態は許容できないはずよ」
「・・・やれやれ、確かに計画の事を考えれば・・・だが補助しすぎて覚醒が遅れたらどうするんだ?」
「その辺りは気にしなくて良い」
作業を行っていた2人の背後から突然そんな声がかかる。
「良いからそのまま続けて、上の決定でプランを幾つか前倒しにするようだ」
それだけの言葉で2人は理解して
「他の国のサーバーでもか?」
「正気? いえ正気なんでしょうが大丈夫なの?」
「・・・その辺は綱渡りになるだろう・・・」
2人の表情が険しくなる。
「しかしそうしなければ計画自体を大幅に見直さねばならぬであろう」
「そうでしょうけれど・・・いえ、そこは私の考えるところではないわね」
そう言うと女性は再びキーボードへと意識を集中した。
正気か? そもそもそこまで負荷をかけるくらいなら一時凍結するって話ではなかったのか?
もう1人の男性は振り返ったまま現れた上司を見据える。すると上司の男は首を左右に振る。
つまり上層部の方で何かがあったと見て良いな。それであれば・・・
男性は覚悟を決めたかのようにキーボードへと向き直り、同僚の女性や上司に分からない様にプログラムの中に何かを仕掛けて行くのであった。
願わくばこのシステムが作動しないことを・・・いや無理だろうな
男性が仕掛けたのはある種の起動コマンドである。密かに何かあった時の為にメインシステムに密かに組み込んだ安全装置その起動コマンド。このことからもこの男性の実力は他の同僚たちを遥かに凌駕していると言えた。
四国、屋島付近その上空にスサノオは来ていた。
「やはりここにも羅刹が率いる修羅の部隊が居るか・・・領主たちが協力的であっても四国でそれに対処できるものがいるか? モトチカがギリギリと言ったとこだな。仕方ない俺がやるしかないか」
そう呟くとスサノオは地上へと降り立つのであった。
黄泉の国、黄泉平坂
「驚、蓋開いてる・・・どうしよう?・・・アマねぇに相談」
それでも応急処置として地上へと向かう扉の前に簡易の結界を張る。張った結界は簡易的なものであり上級・・・つまり羅刹以上のものは通さないがそれ以下の者を刀してしまうと言った物である。だが修羅であれば上位の時間旅行者や領主、それに仕える上位に位置する者であれば対処できると判断したためであった。
有岡城上空
「あら? ヨミちゃんからね。もしもしヨミちゃん何かあったの? ・・・うん、うん、それで・・・えっ? 嘘でしょ? まさか黄泉の国の蓋が開いてるなんて・・・取りあえず聖竜王に準備を進めてもらうしかないわね。うん。そっちは私から話を通しておくわ。それじゃあ気をつけて帰って来るのよ? じゃあまた」
アマテラスは九州の方角を見据え
「これも【アシヤ】が関係しているんでしょうね。【陰陽連】は代替わりしたばかりだしそれもしょうがないんでしょうが・・・そこに【タイラ】が関係して更に時間旅行者の【葵】だったかしら? 不確定要素を持った彼らが関わった結果でしょうけれど・・・私の管理下にある国で好き勝手やってくれますわね・・・良いでしょう。そっちがその気であればこちらとて考えが有ります。それにはまず【勇者】や【英雄】が必要なんですが・・・ん? ・・・へ? なんで? なんで【神子】なんて【勇者】や【英雄】何かより現れる確率の低い者が居るのよ。」
アマテラスはその場で考え込む。
記録を見る限りだと【アシヤ】や【タイラ】それに【葵】が絡んだために生まれたと見るべきね・・・まぁ元々素養はあったのでしょうけど。それに丁度良くイベントには参加していないようですし・・・それに聖竜王にも合っているし、その庇護下に【陰陽連】も付いているようですしね
アマテラスはパンと勢いよく扇を閉じると
「ここは私が見ていなくとも問題ないでしょう」
そう言うと光の中にアマテラスが包まれその場から消える。




