002話
合流予定やった有岡城はノブタカはんらに任せますわ
それは・・・なるほど、一の谷を攻めるのだな?
せや。そうすればキヨモリ軍は一の谷へと引き返すやろ・・・!?何や?
トウキチどうした?
くっ! してやられたわ! 奇襲や奇襲! ワイらのとこにキヨモリ軍が攻めて来とるわ!
援軍を出す
いや、そのままノブタカはんらは有岡城目指しい
しかしトウキチ達だけで大丈夫か?
かまへん。かまへん
分かった。城を落としたらカズミの隊を向かわせる
いらへんて。それよか貢献度はワイらのもんやで?
ぬかせ有岡城を落とせばそれを上回るはずだ・・・本当に大丈夫なんだな?
せやから大丈夫言うてるやないか
では一の谷で会おう
了解や
チャットを終えトウキチは戦闘がおこなわれている場所を鋭く睨み付け
「あそこから攻めてくるとなると・・・東や! 東を警戒せいや!」
トウキチの叫び声に【千成瓢箪】のメンバーが反応する。そして迎撃態勢が整うと同時に東の街道からキヨモリ軍の騎馬隊がなだれ込む。
「後衛部隊は準備が整い次第東を援護や! 本体はこのまま正面の敵を蹴散らすで~」
トウキチも槍を手に騎馬へと跨ると正面の敵へと駆けだす。
戦いの傷跡が残る有岡城を前にノブタカの声が響き渡る。
「第一、第二は城の裏手へ! 第三、第四は正面! 第五は俺と共に突入! 敵の援軍が来る前に城を奪い返すぞ!」
ノブタカが城へと近づくと迎撃の為か矢が降りそそぐ。だがその数にノブタカは違和感を覚える。
「数が少ない?」
すると後方より声が上がる。【天下不武】を中心とした一団が城を包囲したと同時にキヨモリ軍がその背後へと襲い掛かったのである。
「ちぃっ! こちらにも戦力を残していたのか! 仕方がない俺たちで後方を受けもつ!」
突入前であったためその騎馬の機動力を生かしノブタカ率いる第五軍は反転して後方へと襲い掛かっているキヨモリ軍へと突撃した。
各ギルドの主要メンバーに対して破邪系の武器が与えられていた事も有り夜明け前に有岡城を奪還することに成功する。そして【千成瓢箪】を含めた大阪勢も昼前に有岡城へと入場を果たすのであった。
一の谷砦内一室
「思った以上に敵は強いと言う事か・・・」
「恐らくヨシナカ軍を打ち破った武具を使ているのであろう」
「しかしどうする? このままではここを守るにも船で海へと逃れるにも全滅すらしてしまうのではないか?」
「ここは我が引き受ける。皆は船で海上へ逃れよ」
「しかしそれでは今後の戦で・・・」
「何、我とてここでむざむざと倒されぬよ。だが我以外にここに留まり脱出出来る者はいまい?」
「「「・・・」」」
「では決まりだな」
「すまん」
「申し訳ございません」
「ご武運を」
「任せろ」
1人の屈強な武者を残し部屋を後にする。
「このトモモリ信念無き者どもに後れは取らぬ」
決意に満ちた表情で立ち上がり直属の部下たちに指示を出す。
「背後は【死鬼】どもに任せ東西の街道に兵力を集中させよ! だが無理はするな! 皆が脱出する時を稼げればよい!」
「「「はっ!」」」
次の日の朝日が昇ると共に【天下不武】【千成瓢箪】を中心とした連合軍が一の谷へと姿を現す。
「よくもまぁこれほどの兵を集めたものよ・・・しかし組織戦は不得手と見える」
物見櫓から一の谷へと迫る連合軍の動きを見ながらトモモリは呟く。トモモリの言葉が示す通りある程度の部隊単位での動きは見せているがその練度は均一ではなく、トモモリには数合わせに見える一団が混ざっていると指摘していたのである。事実戦いが始まるとそれは如実に表れる。そう我先にと貢献度の取り合いと言うような現象が起きる。
「・・・まぁじゃあないでっしゃろ?」
「だが、気持ちのいいものではないな」
トウキチの助言の下、組織戦に向かない者たちをノブタカは先方に当てていたのである。その戦いを見て敵キヨモリ軍の実力を推し量ると言う意味合いもあったのだある。
「烏合の衆で我らの実力など測れるものか」
トモモリは指示の為に右手を上げる。すると崖の上から大きな岩が転げ落ちてくる。その光景に時間旅行者達は慌てふためき最早陣形など保てる状態ではなくキヨモリ軍により瞬く間に討たれていくのであった。
「あちゃ~あきませんわ。岩が障害物となり種子島や騎馬の機動力を潰されましたわ」
「のん気に分析している状況か」
「せやかてどうしようもあらへんよ」
言葉にしながらもトウキチの頭の中は目まぐるしく働きどう攻略しようか考えを巡らしているのであった。
お読みいただきありがとうございます。
次回更新は6月中にUP出来ればと思っております。




