015話
ふ~ヨシナカ軍はどうにかできたみたいやな
これで後はキヨモリ軍に対するイベントの準備に専念できる
ちょっと待ってくれ!
何やマサキどないした
どないしたじゃない! 関東の【タイラ】討伐が停滞しているんだ!
・・・
・・・悪い忘れてた
をいっ! 忘れてたのかよ!
そんでどないなっとんねん
我々【八犬士】の方は少しづつではありますが戦果を上げているのですが・・・
【新選組】の方は京の方に戻った方が良いと言う意見が出始めているな
【独眼竜】の方は【早鬼】ってやつを追い詰めたんだが、【知鬼】の援軍によりにらみ合いになっている
やはりウエスギ軍、タケダ軍が自領の鎮圧に戻ったのが影響しているんだろうな
せやかてこっちも動かせる戦力なんかあらへんで
だよな・・・
あっそうだ【神聖水】が流通しだしたんだったか
それかて1週間後に始まるイベントに向け仕入れ取るさかい東にそれほど回らんとちゃうか?
ああ゛~
しかしヨシナカ軍が壊滅したことでウエスギ軍やタケダ軍に援軍を立舐めるようになってんじゃないのか?
ウエスギ軍は無理やろ。確か若狭まで来たんちゃうか?
ダメもとでタケダ軍がってところだが・・・
やっぱノブタカはんが伊豆の国貰っとけばよかったとちゃうか?
トウキチ! ここでその話を蒸し返すのか? 確かにあれは痛かったが・・・
まぁここは関東のギルドに踏ん張ってもらうしかないな
せやかて戦い続けることなんかできへんで? イベント参加したいもんも居るやろし、領主軍かて軍資金がそこまで持つとは思わへんやろ
確かにな・・・
東北の他の領主に頼ると言ってもな・・・ん?なんだ・・・はぁ!? くそっ!
どないしたんやマサムネはん
ダテ軍の留守に他の領主軍が攻め込んだ! 悪いが俺ら【独眼竜】も一緒に戻ることになった
あちゃ~
あ~悪い【新選組】も京に戻ることが決まったようだ
何やて!
そう言えば【白虎隊】はどうしたんだ?
その【白虎隊】がダテ領で持ちこたえているって話だ
いつの間に・・・
知らん! だがそのおかげで今戻れば間に合う時が稼げているのも事実だ
せやかて【タイラ】はどないするねん
そうですねダテ軍と【独眼竜】が退くとなりますと私達【八犬士】も自領へ引くことになると思います。
おいおい! っと言ってもホウジョウ軍も引くだろうな
関東では【タイラ】が残るちゅうことやな
それはそれで今後の展開次第では不味いことにならないか?
なるやろな。せやかてキヨモリ軍との戦闘イベントちゅう人参がぶら下がっとんじゃしかたないやろ? それとも【天下不武】はイベントに参加せ~へんのかいな?
・・・参加だな
せやろ? ホンマなら関東のプレイヤー達も参加したいと思っとるやろ
だな
全てを上手く回せれば苦労せ~へんで
関東の対応は一時的に撤退する方向で話が進む
それよかワイらは【一の谷】に備えな
戦力はどうなっている?
【千成瓢箪】は参加やな
【天下不武】も参加するとして他はどうなっている?
【海援隊】は次の【屋島】に行くちゅうとったな
【十勇士】はどうした?
あそこは今内政に忙しゅうしとるわ
あ~【神子】に協力していたんだっけか
せや、そのお蔭やないが東を気にせんで良くなったのは有りがたいんやが・・・
戦力が無くなったと言う事か
せやでノブタカはんが伊豆貰っとけば・・・
その話はいい加減やめにしないか?
ええ~・・・まっこれくらいでいいやろ
・・・
後は他のイベント参加プレイヤーやな
【神子】達が参加してくれれば有りがたいんだが・・・
どないやろな? 一応【十勇士】経由で依頼はだしちょるが
関東のようなことは無いだろう・・・だがあてにしすぎるのも
せやな組みこんどって前ん時の様にってなったら目も当てられんわ
兎に角協力してくれそうなギルドに片っ端から声を掛けるしかないだろ
声かけんのはいいんやが
なんだ?
ノブタカはんら期日までにこっちこれんのかいな?
ついてすぐに戦いとならない様にもう移動している
さよか。ほな現地で
ああ、そっちも頼んどいた物資ちゃんと用意していてくれよ?
わかってますって、商いやさかいそこは心配せんでもええで
分かった
互いに別れの言葉を掛け退出する。
一の谷・・・崖を背に幾重にも陣が敷かれ強固な要塞と化していた。そこには【亡霊武者】の他に【死鬼】の姿も見受けられる。
「フォフォフォフォ、爽快じゃな」
遥か上空からドウマはその光景を見下ろし呟く。
「しかしこれでは背後から攻めてくださいと言っているようなものではないか?」
ドウマは崖を見据え感想を述べる
「どれ儂もちと協力してやるかのう」
崖上に魔法陣が浮かび上がり【修羅】を始め【羅刹】が1体姿を現す。
「このくらいで良いか・・・ん?・・・これは面白い・・・」
狩人と思われる男が【修羅】達を見つけ慌てるように逃げ出した。
「・・・追わせん方が面白そうじゃのう」
ドウマは一瞬追わせようかと頭によぎるがすぐにその考えを否定する。
「これで【神子】が来てくれれば御の字と言ったところじゃのう」
あまり期待しないと言った感じのその言葉は誰も聴いてはいなかった。
北九州
北九州を納めていたオオトモ軍は宿敵であったシマヅ軍を背に腹は代えられぬと頼ったのである。
総勢10万からなる連合軍に対しキヨモリ軍の総数はその半数の5万ほどであった。しかし戦いが始まって連合軍有利に進むかと思われたのだが・・・予想外に【亡霊武者】が組織立って動き連合軍の行く手を阻んだ。
さらにこれに康応するかのようにオオウチ軍、モウリ軍の連合軍も北より南下を開始するのだが、海上より猛攻を受け九州へと上陸する以前に海上へすら出られない状態となり停滞するとオオウチ、モウリ両軍の宿敵ともいえるアマコ軍がモウリ領へと進軍を開始する。
今まで時間旅行者の活躍により防がれていた領主間の戦いがここに激化の一途をたどったのである。奇しくもイベントの為に多くの時間旅行者が指定された土地へと向かう最中の事であった。
京都、某所
「我が幼いゆえにこの日ノ本の国は戦いになるのか?」
ビスの向こう側より幼さの残る少年の声が聞こえてくる。その言葉に頭を垂れた者たちからそんな事は無いと否定の声が上がる。
「では何故争いは無くならないのか」
その言葉に頭を垂れた者たちは返答に困る。そんな中1人の男が口を開く
「お恐れながら申し上げます! 争いが無くならないのは恐らく黄泉の国の封印が弱まってきたことが原因かと思います」
烏帽子姿の細身の渋い男性はそう言いきる。
「では封印を再度行えばよいではないか」
「いえ、ほころんだ封印の上に封印を重ねるは下策。亀裂の入った柱を基に家を建てる様な物にございます」
「ではいかがいたす」
「黄泉の国への封印が解かれたのちその場を浄化し再度封印をするのが良いかと」
すると周囲から怒号が上がる。そんな事をすれば【死鬼】は愚か【修羅】や【羅刹】が大量に地上へと出てくると
「ならば帝の名の下領主たちの軍を差し向ければよい」
すると今度は争いが起こっているのに一つにまとまる訳がないと声が上がる。
「・・・はぁ皆様は否定ばかりを述べて実のある策の一つも帝に申し上げることもできませんのか?」
すると身分が低い癖になど男を貶す言葉が飛び交う。
「黙れ! 皆も否定ばかり銭で何か方策を述べよ」
あまりの光景に帝は声を荒げるとそれまで声を上げていた者たちは押し黙る。
「何もないようじゃな・・・っとそうじゃ将軍、アシカガはどういたした姿が見えぬようじゃが・・・」
「アシカガは黄泉の勢力に組したことで美濃の領主に討たれてございます」




