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オールド・タイム・ワールド・リンク(仮)  作者: あおい聖
【京都動乱】
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014話

 若狭の国での戦いは終わった・・・しかし犠牲になった民の数は40,000を超え周囲には瘴気が漂い魔物の数が増していた。


 ウエスギ軍が新たに手にした領土越中の国、加賀の国、そして越前の国であり、若狭の国はとても治められる地ではなくなっていた為放棄し、アスカ軍に譲渡された。更にその中の越前を【毘沙門天】に与えられカネツグが代官となっていた。


 若狭の国の惨状に加担したアザイ家ではあったのだが、戦いの後存続する村々をナガマサ自らが謝って回ったこととその都度支援物資を支給したことで表だっての不満の声は上がらないでいる。なぜそんな若狭の国をナガマサが謝って回ったのかと言うとその地を納めるかに思えるのだが・・・それが決定したのは存続した村々の村長たちを集め意見を聞いた場で決定したことである。故にナガマサは領主として認められ、復興にはナガマサが陣頭に立ち率先して事に当たっていた。



「何の因果か、この私が領主とはな・・・」



「アスカ軍が人材不足と言う事も有りましょうが、若・・・いえ、ナガマサ様が御屋形様に認められたと見るべきでありましょうな」



 ナガマサの呟きにヤヘイが答える。



「だが、父上がしでかしたことは許されるものではない・・・」



「アスカ様も言っていたではありませんか『罰を求め償いを考えているのであれば若狭の国を以前以上に発展させ民たちの暮らしを良くすることで償いとすればよいのです』と」



「ああ・・・」



「若! 魔物の群れが村の近くで発見されたとのことであります!」



 話の途中で魔物の出現を知らせる方がもたらされる。



「・・・分かった。行くぞヤヘイ!」



「はっ!」



 ナガマサとヤヘイは馬へと鞭を入れ駆けだす。その背を追うかのように騎馬隊が追従した。






 伊賀の国


 激しい【死鬼】との戦いを制した【十勇士】はやっとの思いで伊賀の城へと入場する。それはこれまで見たことのない悲惨な光景が広がっていた。



「状況をすぐに調べさせよ! 生きている者は必ずいるはずだ!」



 ノブシゲの言葉に従い小隊ごとに城下へと散る。



「とんだ置き土産だよ。これでアスカ軍からの支援が無ければ終わっているぞこれ」



 家屋の扉は壊されそこから除く室内は荒らされている始末である。



「ダメもとで追加支援を要請するしかないか・・・」



 アスカ軍の現状を知る一人として難しいことは分かっているのだが、アスカならそこを何とか工面してくるであろうと期待していた。事実イベントに向け【亡霊武者】に特攻をもたらすアイテム【神聖水】を大量に生産することで復興資金を荒稼ぎしていたのである。






 山城の国


 この地を任された【陰陽連】のシキノは旧アシカガ軍を上手く使いこなし治安の回復に力を注いでいた。



「・・・ふむ、東西南北全てで封印が破られるあるいは効力を失いつつあると言う事かのう・・・」



「全く媒体となる【神聖水】をアスカ殿が支援してくれなければ途方に暮れていたとこですよ」



 上がって来た書類に目を通しながら指揮のが呟くと同じく書類処理を行っていたイッキュウが声を上げた。



「しかし、この【神聖水】ですか・・・どのような環境で育てばこのような者が造れるようになるのか・・・」



 とっくりに入った【神聖水】を揺らしながらセイメイが感想を述べる。ただの修復であれば【聖水】で十分事足りる。さらに言えば【神聖水】などと言う【聖水】の上位存在を作れるものなど【陰陽連】は愚かこの日ノ本の国には確認されてはいないことをここに居る者たちは知っていた。



「しかし・・・これはちと余計じゃな・・・」



 確かにアスカを領主にするようドウサンと画策したのは自分であるとシキノは思っている。しかしまさか自身が代官などと言うめんどくさい仕事を押し付けられるとは思っていなかったために書類の山を見て愚痴をこぼした。



「そんな事を言ってもシキノ様であればこの程度造作もないでありましょう?」



「・・・出来る出来ないではないのだがな・・・」



 イッキュウの言う通りシキノにとってはこの程度の書類処理など造作もないことではあったのだが、それを自ら進んでやりたいかと言われれば・・・シキノにとってめんどくさいの一言に尽きるだろう。それでもアスカを巻き込んだ1人としてそれを断ることなどシキノは考えもせずに受け今に至っているのであった。



「ん? 何じゃこれは・・・これは却下じゃな」



 却下された書類が指定の場所ではなくイッキュウの足元へと舞う。貴族からの【自分達を優遇する陳情】とタイトルが付けられた書類である。



「自分達では何もしないくせに・・・要求だけはしてくるでありますか・・・」



「貴族とはそういう者じゃて・・・まず優先するのは治安維持、そして物流の回復じゃ」



 シキノはこの後に続く戦いで物資の輸送が大切であることを予測していた。そして大和の国を経由するルートも先の戦いで悲惨なものとなっていることも情報から知っての事である。

お読みいただきありがとうございます。


次回は来週の更新予定となります。

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