表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オールド・タイム・ワールド・リンク(仮)  作者: あおい聖
【京都動乱】
74/87

010話

 突如として周囲に瘴気が広がりアスカの浄化の舞の効力とせめぎ合いを始める。


 更に降伏の旨を伝えに来たアシカガ軍であったのだが、【死鬼】を伴いカエデの騎馬隊を襲い始める。



「くっ! 降伏するんじゃなかったのかよ!」



 カエデは騎馬上から薙刀を振るい【死鬼】を蹴散らす。ガギ~ン・・・数回【死鬼を切り捨てた次の瞬間カエデの薙刀を止める【死鬼】が現れる。その【死鬼】は通常の【死鬼】とは違い赤みを帯びた紫色の肌をして、着流し風の服を纏い大きな刀【斬馬刀】を手にした【死鬼】が行く手を阻んだ。



「なっ!? 単なる色違いと言う訳じゃないみたいだね。それに身体から瘴気があふれ出てる」



 カエデの騎馬隊はまだよいが、新たに加わった部隊が紙きれの様に一振りで何体も砕け飛んで行く。



「あともう少しと言うのに・・・一先ず退却! シャルロット軍の下まで退け!」



 カエデはこれ以上の戦いで大事な騎馬兵を失うわけにはいかないと判断し、防衛力に優れたシャルロットの部隊の所まで戻り体勢を立て直そうとし、退却を選択した。



「フォフォフォフォ、中々判断が良いことじゃて・・・【修羅】相手にまともに戦える騎馬隊・・・時間旅行者にしては色濃い戦場を生き抜いてきたと見える。それに比べて・・・」



 ドウマはカエデの騎馬隊の実力を認めつつ視線を下げる。そこには股間から漏らしたもので水たまりを作り、その場所で横たわるヨシテルの姿があった。



「アシカガ家はここまで酷くなっておろうとはのう・・・」



 昔を懐かしむように顎鬚をなぞり呟く。



「さて、シキノよ・・・いや神子が主体であったか、次に儂に何を見せてくれるかのう? フォフォフォフォ」






 カエデ軍が退いてきたことは本陣に居るアスカの下へも情報がもたらされた。



「赤紫の【死鬼】ですか・・・それは恐らく【修羅】と呼ばれる【死鬼】の上位種よのう」



 アスカの横に座っていたシキノが報告にあった【死鬼】・・・【修羅】の情報を伝える。



「【修羅】は【死鬼】が兵とするのであれば将と言ったところじゃのう」



「なるほど【修羅】ですか、その【修羅】は【亡霊武者】と比べてどれほど強いのですか?」



 アスカは強さの目安を得ようとシキノに訊ねる。



「何とも言えぬのう・・・ただ言えることは並みの浄化術では物ともせんと言う事じゃのう」



 その言葉にアスカは愚か皆が驚きを見せる。



「強さで言えばヨシナカやトモエ・・・マサカドなどよりかははるかに弱いのだが・・・」



「浄化術が効きにくいことで倒しずらいと言う事ですね?」



「うむ、それに通常でも周囲に瘴気を振りまきおるからのう」



「数は100程度と言う事ですがさらに増えることはあり得ますか?」



「・・・むむ、それについては京の結界がどの程度解かれているかにもよるのう・・・だが、解かれて間もないのであれば恐らく100体が全てであろうが・・・更にその上位種【羅刹】が数体いても可笑しくないがのう」



「・・・分かりました。僕自らが先陣に立つ必要があると言う事ですね」



「アスカ君!」



「アスカ!」



 立ち上がったアスカを制止しようとユキナとシャルロットも立ち上がる。



「大丈夫だよ。それにシャルには一緒に来てもらうし・・・」



「なら良い」



「そんなわけありません!・・・しかしそれが最善と言うのも頷けるのですが・・・」



「なら私も一緒に行こう」



 本陣の入り口から声がしてみんなの視線が入り口へと集まるとそこにはカエデの姿があった。



「これでもレベルはカンストしている。武器も有る。どうだユキナ? それでも不満か?」



「分かりました。カエデとシャルロットさんはしっかりとアスカ君を守ってくださいね」



「了解だ」



「OK任せときな」






 引いたカエデ軍を追って【死鬼】を伴った【修羅】の軍がアスカ軍の前に現れる。



「さて・・・どう出る?・・・!? そう来たか!」



 ドウマの視線の先で天より光が降りそそぎ【死鬼】は愚か【修羅】までをも薙ぎ払い中心へ向け収束する。



「カ~カカッカ! 見事じゃ! 実に見事じゃ! まさか【黄龍】の力を召喚するとは! 良い! 実に良いぞ! 1体【羅刹】を送れ! 実力を確かめてくれようぞ!」






 崩れるかと思われた【修羅】の軍の後方より【死鬼】は愚か【修羅】すら避け道が出来る。その道の先より鬼面の鎧武者が現れる。その肌の色は【修羅】と同じ、だが受けるプレッシャーはその比ではない。



「アレが【羅刹】ですか・・・アレは僕が相手をします! シャルとカエデさんは【修羅】の相手をお願いします!」



「了解! アスカも気を付けるんだよ!」



「OK そちらも油断するなよ!」



 アスカはゆっくりと【羅刹】へ向け歩き出す。その右をシャルロットが駆け抜け、左をカエデが駆け抜ける。【羅刹】はそんな2人など相手にするまでもないと視線で一瞥するのみで目の前の相手に集中しようと視線を戻すとすぐ目の前にアスカの姿を捉え



「グヲォォォォ!!!」



 叫び声と共に身体から迸る瘴気が円状の結界の様に変化しアスカの神聖気とぶつかり稲妻が迸る。



「やってくれる!」



 アスカは腰の黄金に輝く達へと手を添え居合い切りの要領で向け放つ。バチバチと激しいせめぎ合いの後結界が砕ける音がした。

お読みいただきありがとうございます。


次回は5月14日を予定しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ