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オールド・タイム・ワールド・リンク(仮)  作者: あおい聖
【亡霊武者】
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012話

 月面都市、某所


 【人口超越者開発プロジェクト】この時代では珍しくデータ媒体ではない資料。


 増えすぎた人をどうするかと言う計画【宇宙移民計画】そのプロジェクトに基づく計画の一つであり、人道的な問題から凍結が決定した計画である。


 しかしながらそれは表向けであり、計画の裏で動いていたプロジェクトでもあった。


 現在この計画は【VRカプセルタイプ】を利用したプロジェクトとなり、【OWL】の中に組み込まれたプロジェクトである。



「なるほどな。現代社会に隠された【超越者(ウェイク)】の発見が見受けられるな」



「まさかこれほどの数が存在していようとは・・・」



「それに、この事例は実に興味深い」



 モニターにシャルロットが映し出される。



「極限状態に追い込むことで発現した世界初の人工【超越者】か・・・だがこの他はまだ確認されていないのであろう?」



「いえ、そうとも言い切れません」



 その言葉と同時に修道服姿で大剣を振り回す金髪のウエーブがかった長い髪を靡かせ【リビングアーマー】を切り裂く女性が映る。更に別のモニターには2丁の拳銃を巧みに操るガンマン風の青年が映し出される。



「女性の方がフランスで名が通っている【聖女】と呼ばれているジャンヌ、そしてアメリカの【双銃】デュエル。この2人は【VRブースター】こそ使ってはおりませんでしたが・・・」



 何かの数値データが表示され



「【聖女】の方は筋力、素早さの値が常人の1.2倍まで跳ね上がっています。また現実世界での彼女にも影響を及ぼし始めていることが【ウォッチャー】からの報告で確認が出来ています。【双銃】に至っては空間認識能力が著しく向上しているとの報告であり、観察にも苦労していると【ウォッチャー】より報告が上がっております」



「つまりは覚醒しやすい才能と覚醒しずらい才能が有る訳だな」



「はっ! そのように考えておりますが、現状では【VRブースター】計画は凍結又は縮小した方が宜しいでしょう」



 その言葉に資料を捲り内容を確認していた一人が口を開く。



「確かに【紅の姫騎士】の例はあるが、各国の規制が厳しくなっているのも事実・・・【VRブースター】計画は国連と一定の距離を置く独裁国に限定した方が良いな」



「いえ、次のページをご覧いただきたい」



 次のページを捲った一同が感嘆の声を漏らす。



「なるほど・・・かの大国は自国の威信の為にモルモットを用意するか・・・」



「はい、こちらの裏の組織へ内々にオファーが有りました」



「我らが背後に居ると悟らせぬよう事を運ぶことは可能か?」



「可能か可能ではないかと問われれば可能かと・・・しかしそれを知るのは少ない方が宜しいでしょう」



「なら13課が適任であろう?」



「分かりました。13課に手配いたします」



「次の議題ですが、このまま危険度が高いまま状況を推移するか、更なるサポートシステムを組み込むかですが・・・」



「それならば、他のエージェントを使い上手く闇の勢力をコントロールすれば良いのではないか?」



「それにつきましては【アシヤ】【タイラ】・・・そして【クーロン】は難しいかと・・・」



「日本の【アシヤ】と【タイラ】であれば問題なかろう? 何故かあの国に大量に【超越者】が発生する土台が有るようですし・・・寧ろ【クーロン】の方が問題では?」



「緊急処置として【国連軍】の名目で1課の者を送ればある程度対処はできよう?」



「いやいや、ここは我ら2課が適任かと」



「組織運営にたけた2課か? 組織作りでは3課の方が適任では?」



「やはりここは1課の武力で打撃を与えた後に3課、そして2課と交代させればよいだろう」



「早期に効果を求めるのであれば5課、6課を1課の下に付けた方が良いのでは?」



「確かに5課長、6課長共に1課長の美貌にやられていると聞く・・・」



「許可する。1課を中心に5課、6課をつけ早急に対処させよ。日本の方は4課に監察を」



 中央に座る男から声が上がり全員がそれを了承する。






 【第四課】と書かれたプレートが有る室内



「我々に日本サーバーの監視任務でありますか?」



『そうだ。場合によってはイベントとして介入も許可が出ている』



「イベントでありますか・・・」



『日本にはゴールデンウイークと言う物があったな?』



「なるほど、それを利用したイベントとし、【タイラ】並びに【アシヤ】が起こしたと思われる【亡霊武者】に介入するわけですね」



『ああ、それで構わん。だが・・・』



「まずは4月・・・そうですね~第2週までは観察、そこで時間がかかりそうであればイベントとして介入で宜しいでしょうか?」



『詳細は任せる』



「それでは後程草案を纏めお送りいたします」



『分かった。それではな』



「お疲れ様でした」



 そこでモニターが消え通信が終わる。対応していた髪をまとめ上げたすらっとした体型の如何にもキャリアウーマンと言った感じの女性が振り返り



「聞いたな? 1班は草案作りに取り掛かってくれ! 2班、3班は交代でモニター! 残り2班は現地調査!」



 それぞれの班長から元気よく了承の声が上がる。

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