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オールド・タイム・ワールド・リンク(仮)  作者: あおい聖
【亡霊武者】
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010話

 関ヶ原、その中心部に簡易的な舞舞台が出来上がり周囲に弓矢を防ぐために板盾が立てかけられ、陣と呼べるものが張られていた。そんな陣へと日の入りと共に【亡霊武者】の軍が現れる。その本体と思われる場所に【巴】の文字がなびく・・・



「アスカ! 舞を始めてくれ!」



 騎馬上からカエデが叫び舞舞台上に居るアスカが頷き、その後ろに控えるカリナとシズカが楽器へと手を伸ばし、アスカの足踏みの音でリズムを取るかのように音楽が流れゆっくりとした動きでアスカが動き出す。


 その光景を見てカエデはハルナへと顔を向ける。



「ここをお願いします」



「任せろ! 【ドール兵】も仕上がっている。守るだけで有れば援軍が到着するまでは持つ!」



「それでは・・・【六文】騎馬隊! 作戦通り展開!!」



 6人一組としたパーティーが10個それぞれ周囲へと散る。


 こちらの動きに対し【亡霊武者】の軍も動き出す。【巴】の旗がなびく部隊を先頭に一直線に舞舞台を目指し駆けだす。しばらく進むと右の一団がその場から消えた様に地面に隠された落とし穴へと落ちる。更に進むと左の一団が同じように落とし穴へと落ちる。それでも勢いを衰えない中央の一団が急に進路を変更する。しかし後続の一部は勢いを止めることなく真っすぐに進むと地面が崩れ落とし穴が顔を出す。


 落とし穴などの罠により【亡霊武者】の軍は統率を乱されると待ってましたとばかりに【六文】の騎馬隊が蛇行しながらまだ健在の罠を避けながら【亡霊武者】を襲う。


 それに対し【亡霊武者】の軍は陣形を取ろうと広がると、周囲が崩れ面白いように罠へと落ちて行く。これらの罠は元々アサクラ軍に対しサイトウ軍が用意していたもので、今回それを大いに活用していた。


 数の上で圧倒的であった【亡霊武者】の軍ではあったのだが罠により分断され、更に【六文】の騎馬隊の攻撃で罠に追い詰められ数を減らす。そして止めとばかりに罠により傷ついた【亡霊武者】の下へアスカの舞による【浄化】が襲い来る。


 ここまで周囲へと広がった【浄化】の力に【亡霊武者】の敗北が決定的となって行き、更にユキナ率いる後続部隊が到着したところでとどめとなる。


 しかし本隊ともいえる【巴】の旗がなびく部隊だけは果敢に舞舞台へと突撃した。



「ちぃっ! 【浄化】の効果が強いここまで来るとはな! 【ドール兵】槍を構えよ! 柵の内より串刺しにしてやれ!」



 ハルナの言葉に足軽装備の【ドール兵】が槍を構え待ち構える。それを見たのか甲冑姿の体系から言って女性と思われる武者が速度をさらに上げ突っ込んでくると



「一騎掛けだと!? 今だ! 突け!」



 ハルナは一瞬驚きを見せるもすぐに指示を出す。だが女武者は槍が届く寸前で馬を巧みに操りその上を大きく越え、柵さえも飛び越えるとそのまま舞舞台へと目指す。慌ててハルナがその後を追おうとすると



「こっちはあたしに任せな! 【ミカエル】!」



『確かに可能ですが、神域とてもって5分と言ったところです』



「それだけあれば十分!」



 シャルロットがハルナへと声をかけミカエルと共に女武者へと【火術】による矢を放ち足を止めさせるとミカエルが赤い光となりシャルロットを包み込む・・・



「さぁ貴女の相手はあたしだ!」



 赤い紅の長い髪を靡かせドレスアーマーを身に纏ったシャルロットが姿を現し女武者へと切り込んだ。


 女武者は咄嗟に騎馬から後方へと飛びのき、次の瞬間騎馬は青白い炎を纏った剣により用談され粒子となって消えた。


 女武者は舞を舞うアスカに一瞥するがすぐに目の前のシャルロットへと意識を戻し薙刀を振り回し構える。


 そこからの戦いは正に壮絶で間合いに勝る女武者の薙刀の攻撃にシャルロットは押され始めるが、【火術】を駆使することで拮抗を保ち戦いが続く・・・






 しかしながら拮抗しこのまま続くと思われていたのだが次第に女武者が押されだす。そう女武者にとってこの神聖結界とも呼べる領域ではその力を大いに削られていたのである。


 周囲にいた【亡霊武者】の姿は既に鳴く孤立したかに思われたのだが突如【義】の文字を掲げた【亡霊武者】の大群が姿を現す。その軍はヨシナカ軍の本隊であり、更にはロッカク軍を討ち破りその死者を加え膨れ上がったものであった。


 その軍の出現に姫武者はここでの決着を諦め撤退を始める。逃がすまいと退路へと展開した【ドール兵】をひと薙ぎで切り伏せ、背後からのシャルロットの攻撃を受けつつもその場から脱出することに成功した。


 まるでそれを待っていたとばかりにヨシナカ軍は舞舞台へ向け攻撃を開始する。


 流石に10倍以上の軍を相手に【六文】の【時間旅行者】達が撃たれる中、ヨシナカ軍の後方でほら貝が鳴り響、六文銭の旗を靡かせる【十勇士】の部隊が襲い掛かったことでヨシナカ軍は撤退を始める。大将と思しき鎧武者に抱えられた先ほどの女武者が見受けられたことから目的は果たしたと言わんばかりに撤退する。少なからず犠牲を出した【六文】はもちろんの事、援軍に駆けつけた【十勇士】であっても10倍近い兵力差に追撃を断念せざるを得ないのであった。

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