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オールド・タイム・ワールド・リンク(仮)  作者: あおい聖
【駿河の国】
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002話

 少女を庇う様に前へと出た少年アスカに止った馬車から鎧を着こんだポニーテルの女性が刀の柄に手を掛け走って来る。



「アスカ君。その者との交渉は任せてもらおう」



 彼女は【馬場(ばば) 春奈(はるな)】、【風林火山】のサブマスターの1人であり、アスカの護衛と言う名目で一緒のパーティーに入っていた。またカリナやシズカの二人はアスカが【オリハルコン・ゴーレム】と戦っている間に【六文】に入っていたのだある。なぜ【六文】と思っていたのだが・・・それは富士吉田の城下町へと帰って来て判明した・・・祖母であるシズネが【六文】の代表ギルドマスターであったのだ。


 シズネに会いに来ていたユキナからその事実を告げられ、【六文】が護衛に2人出しているならと留守を預かっていた【風林火山】のサブマスターのハルナが加わったと言う訳である。



 ハルナはアスカと男の前へと歩み出ると



「貴様は【時間旅行者(プレイヤー)】だな。その行為がどういったことか分かっているのか?」



 そう、男は【時間旅行者(プレイヤー)】であり、日雇いの警備兵の仕事を受けている最中なのである。



「なっ? どういうことだ?」



「はぁ~貴様がした行為は強盗傷害、立派に犯罪の類だぞ?」



「おっ俺は関係ない! こいつが勝手にやったことだ!」



 2人1組で回っていたもう1人の【時間旅行者(プレイヤー)】は関係ないとばかりに男から距離を取る。



「警備兵の仕事を受け止めなかった時点で任務失敗であろうな?」



 距離を取った男は絶望に満ちた表情でその場で崩れ落ちる。すると周囲から声が上がる。



「これだから【時間旅行者(プレイヤー)】は・・・」



「ん? だが奪われた女の子も【時間旅行者(プレイヤー)】だぞ?」



「あっ私知っている。あの子達孤児院の子達じゃない?」



「ああ~シスターと一緒に町のゴミ拾いなんかをやってくれてる」



「何だ知らなかったのかい? だから焼き串屋のおやじが高級串を格安串の値で打ってたじゃね~か」



「え? あれ500エンの高級串だったの?」



「半値で売るとは・・・シスター目当てか?」



「いや子供好きなんだろうぜ。結構子供たちには割り引いて売ってるとこ見るからな」



「あの顔で?」



「顔は関係ね~だろうが!!」



 色々言われ顔を真っ赤にした焼き串屋のおやじが怒鳴り声をあげ笑い声に包まれる。ハルナは周囲の声に耳を傾け再び男へと視線を移し



「つまり君は住民に受け入れられている者たちを、守る義務の生じる者たちから強奪したことになるな」



「うるせ~!! 弁償すりゃぁいいんだろ? ほらよ」



 男は焼き串屋のおやじへと250エンを投げる。



「足んね~ぞ。500エンだ!」



「なっ!? こいつらは250エンで買っただろうが!」



「そいつは日ごろの行いだ。貴様は・・・と言うか大人に何故割り引かねばならん」



 男は顔をしかめもう250エン放り投げる。



「これで良いだろう?」



 立ち去ろうとする男の腕をハルナが掴み



「貴様はまだ理解していないのか? 強盗傷害。支払えば許すとでもあの子が言ったか?」



 アイはアスカの足にしがみ付きながら首を左右に振る。



「なっ!? このガキ! 人が下手に出ていれば」



「ひっ!」



 アイはアスカの後ろへと完全に隠れる。男はアイに掴みかかろうと足を踏み出すが、ハルナに腕を掴まれている為にその場から動けない。



「くっ! 放しやがれ! ガキもそいつの後ろに隠れてないで前に出てきやがれ!」



 力づくで一歩を踏み出した瞬間男の身体は宙を舞う。



「なっ!?・・・ぐべっ!」



 男の視界は空を見上げ、背中から打ち付けられ声を吐き出した。



「はい、そこまでよ」



 いつの間にか現れた自身の身の丈より長い長刀を持った紫に近い黒髪の少女がハルナに声を掛ける。



「逮捕の協力感謝。強盗傷害並びに過失致死傷で逮捕」



 鞘に収まったままの長刀を倒れ悶える男へと突き刺す。すると男の倒れている地面に魔法陣が浮かび上がり



「なっ!? 待てっ! 待ってくれ!!」



 男は叫ぶもその姿がその場から消えた。



「これで」



 少女は呟くと男と同じように魔法陣が現れその場から消える。すると周囲から先ほどの少女に付いて声が上がる。



「流石ツクヨミちゃん! 今日も可愛かったなぁ~」



「ツクヨミちゃん? お前彼女の事知ってんの?」



「知らないのか?・・・まぁこの世界で犯罪犯す奴なんかそうはいないからな・・・」



「もったいぶらずに教えろよ」



「分かった分かった。彼女はGMツクヨミちゃん! GMアマテラス姉さんの妹様だ! 今回の様に犯罪を犯したものの前に現れ逮捕するのが仕事さ!」



「あの子1人で大丈夫なのか?」



「そこは大丈夫! 何とツクヨミちゃんは分身が出来るんだ!」



「つまり同型のあの子がたくさんいるんだな?」



「違うって! 本当に分身するんだよ! 詳しくは【ツクヨミちゃんを愛でる】で確認しろ! あと逮捕時抵抗するとあの刀で切られ即垢BUNだからな」



「うわっ何それ怖っ!」



「抵抗しなければ日本だと・・・金山や銀山で強制労働か伊豆諸島付近に造られた人工島にある【監獄】行きだな」



 【監獄】赤鬼や青鬼などが跋扈していて強制的に働かせると言う物。不確かな情報ではあるが【黄泉の国】にもつながっていると言う。

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