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オールド・タイム・ワールド・リンク(仮)  作者: あおい聖
【富士の山道】
32/87

016話

 ****


 空は何処までも暗く冷たい・・・そんな場所にある都市の地下


 ここに【オールド・タイム・ワールド・リンク】のメインサーバーが存在する。


 スーパーコンピューターを上回る量子コンピューターが数多く立ち並ぶ場所・・・



「【VRブースター】の普及状況は?」



「全世界の3~4%と言ったところです」



「そうか・・・」



 カプセルの中に眠る者たちの前面に文字が浮かび上がる



「来たぁぁぁぁ!! 私の担当する日本に【超越者(ウェイク)】が誕生した!」



「何!?」



「嘘!?」



「本当か?」



「モニターに映す」



 カプセルの前面にパネルが現れ日本の江戸近郊にあるフィールドが映し出された。






 初心者たちが良く訪れる草原フィールド


 現在ここへ突如として【死鬼】が現れた。悲鳴を上げ逃げ惑う者たち、戦いを挑み敗れる者たちの中に金色の髪を束ね少年少女たちを率いるシャルロットの姿があった。



「シン! あんたは皆を連れて町へ戻るんだよ!」



「ね~ちゃんはどうするのさ!」



「あたしはこいつらをここに止めておく!」



「なら俺たちも!」



 シンの後ろに居る子供たちも頷く。



「馬鹿っ! ここであたしたちが死に戻るって事はそれだけ他の奴らより遅れるって事だ!」



「でも・・・」



「皆! 逃げて!」



 話をしている間に近づいて来ていた【死鬼】の一撃で子供の1人が粒子となり消える。



「このやろぉぉぉ!!!」



 シャルロットは大剣で【死鬼】を吹き飛ばし子供たちと【死鬼】の間に入る。



「良いから行け! サクの奴を迎えに行ってこい!」



 シンは自身の不甲斐無さに顔を歪める。兎や猫、更には犬と言った魔物であれば問題ないのだが今目の前に居る【死鬼】には歯が立たないことはシン自身が痛いほど理解しているのである。何故なら【死鬼】を見つけたのはシンであり、不用意に攻撃を仕掛け追われる羽目になったのだから・・・



「くっ! ちゃんと戻って来てよね~ちゃん!」



 シンの言葉にシャルロットは笑みを浮かべ答えようとして頭に衝撃を受け横に吹き飛ぶ。



「ね~ちゃん!!!」



「くっ来るなっ! お前たちまで・・・」



 ヨロヨロと立ち上がるシャルロットをあざ笑うかのように【死鬼】はシンたちへと襲い掛かる。



 やめろ! やめてくれ!



「どうか火を司りし御身を持ってあの子達を助けて!!」



 思わずいつもつらい時に口にしていた言葉を口にし



「ミカエルさまぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 シャルロットは叫んだ瞬間当たりの時間がゆっくりと感じられた。



『娘よ。かの者たちを何を賭しても助けたいか?』



「助けたい! 大切な・・・大切な家族なんだ!!」



『ならばその身を我に捧げよ』



「ああ、あの子達を守れるならあたしはどうなったってかまわない!」



『契約成立だ。さあ紡ぐが良い我への祈りの言葉を!』



 シャルロットは力強く立ち



「主に使えたるもっとも尊き貴方に、あたしは願い乞う! この身その全てで貴方を受け入れ邪悪なるものに裁きの炎を!」



 シャルロットのみを青白い炎が包み込む



「ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ~~~~!!」



 彼女の悲痛な叫びが木霊する。炎に焼かれ身体が作り変わって行く・・・金色から紅へ神が変わり、身に纏う衣服も西洋の姫が着る様な紅色のドレスアーマーへと・・・


 彼女の姿が変わるのは一瞬の出来事でまだシンたちの下へ【死鬼】は到達してはいなかった。



「あたしの家族に手を出すなぁぁぁ!!」



 爆発するかのように大地を抉りシャルロットは駆けだす。一瞬で【死鬼】の前へと到達すると手に持つ剣を横へと薙ぎ払う。払われた剣から青白い炎が噴き出し【死鬼】を焼き切る。



「みんな・・・ぶじ・・・だね・・・」



 【死鬼】を倒した瞬間シャルロットは崩れるようにしてその場に倒れ込んだ。



「シャルねぇ!」



「おね~ちゃん!!」



 子供たちが駆け寄ったところで映像は途切れる。






 ****



「・・・これは?」



「【VRブースター】被験者の少女が成したことさ♪」



「・・・初の成功例・・・」



「ああそうさ! 初の快挙だよ! 昔の偉い人が言った『宇宙へと出た人類はその環境に適応しようと進化する』」



「偉い人って・・・昔のアニメだろ?」



「何でもいいさ♪ 私達が人工的に新人類を作り出したんだよ?」



「普及率を上げるか?」



「上げてその全部を把握できる? 今だってかなり無理しているのにさ」



「それもそうだな・・・しかし彼女をあの環境のままでは良くないのでは?」



「そこは問題ないさ♪ もう関連機関を使って確保に動いているはずさ」



「引き金が一緒の子供たちだが彼らはどうする?」



「引き金なんだから一緒に改修するよう手配しているに決まっているだろ?」



「なら、後は地上のエージェントが何とかするな」



 今後をどうするかの話で彼らは夜遅くまで盛り上がったのであった。






 都内の某所、元は宿泊施設であったであろう建物


 現在その施設は赤い赤色灯を回した警察車両により封鎖されていた。暴力団により孤児たちが強制的にゲームをさせられていた事実に警察が突入したと翌日のニュースに上がるのであったが詳しいことはほとんど報じられることなく謎に包まれたまま・・・

次回は【駿河の国】となります。


1週間ほどお待ちいただければ幸いです。

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