015話
予定時間にUPが間に合いませんでした。
これが【躑躅ヶ崎編】最後となります。
現在躑躅ヶ崎の街は人々で溢れ返り、宴が模様されていた。
そんな中でアスカは祖父母とVR世界で出会うことになる。
「も~まだ服だけ初期装備じゃない」
「あの立ち回りは何じゃ。ちょっと稽古をつけ直してくれるわ」
突然の言葉にアスカは固まる。
「クククック、何かて~事言ってんだ。今は勝利を祝い飲むのが礼儀だろうが剣術馬鹿が!」
「ふっ貴様かゲンジロウ・・・」
「トウショウサイだ! これだから剣術馬鹿はいけね~」
「ウフフ、相変わらずねゲンさん」
祖父とトウショウサイが口喧嘩を始めようかとしたその時、祖母がトウショウサイへと声を掛ける。
「シズネさん。相変わらずお綺麗で!」
何やら頬を赤らめ祖母にトウショウサイが声を掛ける。
「そ奴に声など掛ける出ないわ。アスカに刀の一つも渡さんような薄情な奴だからな」
「ああ゛ん? 一点ものを造ってほしけりゃ自身の力で材料を集めろといつも言ってるじゃね~か! 分不相応な武器を持ったって使いこなせにゃ武器が泣くってもんよ」
「いっいつもあんな感じなんですか?」
アスカが祖母であるシズネへと訊ねる。
「ウフフ、ええいつもあんな感じね。話は変わるけど後で貴方にやってもらいたいことが有るのだけど時間は大丈夫?」
「はい。何でしたら今からでも構いませんが・・・」
「あらあら、貴方はこの度の戦の主役の1人なんですもの抜け出すなんて無粋よ」
すると口論していた祖父のタケルは手でトウショウサイの顔を押しのけながら
「そういや~アスカはハルトラから馬を貰ったんだってな」
「はい。確かに【疾風】をいただきましたが・・・」
するとタケルはうんうんと頷き
「後で少し小さいが馬車をやる。荷物をそんなに積まなきゃ4人は乗れるはずだ」
タケルの言葉に困惑しながらシズネへと視線を送ると
「引っ越し祝い兼この世界へと訪れた記念に贈りたいみたいなのよ。受け取ってあげなさい」
シズネの言葉にタケルは恥ずかしそうにそっぽを向く。
「お爺様ありがとうございます」
「まっ適度に息抜きは必要だからな・・・そいつでこの世界を旅するのも悪くはあるまいて」
なんだかんだでタケルに気を使わせていることをアスカは感じ再びお礼を口にする。
「先生こちらにおいででしたか」
タケルを見つけたハルトラが歩いてくる。
「先生?」
アスカの言葉にシズネが微笑み
「この剣術馬鹿は甲斐の国の領主ハルトラ殿の剣術指南役を務めてんだよ」
トウショウサイがアスカの疑問に答える形で説明する。そしてタケルとハルトラがいくつか言葉を交わし
「何と! それではこちらのアスカ殿は先生のお孫であると」
「そうだ」
「なるほど。刀術は先生譲りであり、かの神楽舞はシズネ殿のご指導のたまものだとは・・・いや、将来が楽しみですな」
「そうですよ。この子は私達の宝みたいなものですもの。だからあまり政治には巻き込まないでくださいね?」
シズネの表情は笑顔ではあるが、そこから感じる圧力は尋常ではなくハルトラは冷や汗を流す。
「もっ勿論ですよシズネ殿。それにこの躑躅ヶ崎の英雄を存在に扱えば俺が民につるし上げられます」
「そう、それならいいのだけれど・・・」
圧力が弱まったのかハルトラは、ほっと一息つくのであった。そんなハルトラの下へ仮面をつけたミカゲが部下を伴い駆けてくる。
「そんなに慌ててどうしたミカゲ」
「たった今【陰陽連】から連絡が有り【タイラ】の真の狙いは【封印殿】とのことであります!」
周囲がざわつき始める。
「下総の国にあるとされる【封印殿】の事か!」
「はい。その【封印殿】にございます。丁度昨夜は新月でありますから・・・」
「内部にもう彼奴等が向かっていると言う事だな」
ミカゲは頷き答える。
「今すぐに動かせる戦力は?」
「今すぐには無理です。・・・いえ、1つあります」
「どこの部隊だ」
「先ほど【風林火山】本体が【富士の樹海】から出たと報告が有りました」
「なるほど【風林火山】であれば明日にでも動けるか。至急手配を」
「はっ!」
ミカゲはその場から駆け出し館を目指す。ハルトラはタケルへと向き直り
「先生。そう言う訳ですので俺は館へと戻ります」
「うむ、それが良いじゃろう。儂の方でも弟子にそれとなく声を掛けておく」
「お願いいたします。それではこれにて御免」
軽く頭を下げるとハルトラもその場を後にした。
「そう言う訳じゃゲンジロウ暫く儂に付き合え」
「ああ゛ん? どういうことでい」
トウショウサイは訝し気に聞き返す。
「何を怒っておるのだ。【富士の山道】へ鉱石を取りに行くんじゃ」
「おいおいおい、さっきも言ったが・・・」
「勿論レベル上げも兼ねアスカも一緒に連れて行くわい」
「はぁ~そう言う事なら・・・ギリギリだが造ってやらなくもない」
「ウフフ、私からもお願いしますねゲンさん」
シズネにも頼まれトウショウサイは直立不動となり
「勿論でありますよシズネさん!!」
その光景に思わず周囲が噴き出し笑い声が再び辺りを包むのであった。
1週間ほど次の話の資料集めなどを行いたいと思いますので、お待ちいただければ幸いです。




