012話
来たぁぁぁぁぁぁ!!!
何? 何?
領主間戦争イベント!!!!
甲斐の国VS不明国
不明? 何処か分からないって事?
そう! しかしギルド【葵】が不明国側で参戦している!
【葵】生きてたんか~ww
【白虎隊】が標的になったらしい
ああ~所謂逆恨みか~ww
逆恨み?
ギルド戦で【白虎隊】に【葵】がボロ負けした
えっ!? それだけ?
【葵】は某政党がお金で集めたプロゲーマー集団
スポンサーからお小言・・・給料減
うわぁぁ~
そして今回も失敗・・・
へっ!? どういうこと?
甲斐の国 初心者用フィールド東の森でファングドック氾濫
躑躅ヶ崎の東西南北封鎖(魔物)
【白虎隊】躑躅ヶ崎へ救援に向かう
【葵】東の街道で待ち伏せ
街道で衝突
【葵】再び敗北 <現在ここ
え~それだと【風林火山】が出張って終わりじゃないの?
【風林火山】主力現在【富士の樹海】ダンジョン遠征中
あっだからこのタイミングか
そゆこと
北部封鎖はサナダと【六文】連合軍が突破しました!!
西部封鎖イマガワ軍が突破したよ。傭兵として参加したから間違いない!
南部は何か老夫婦が「孫に会いに行くのに邪魔だ!」とか言って無双してたよww
すると不明国は武蔵の国とか相模の国? ホウジョウでいいのかな?
いやホウジョウ軍も北上して魔物と戦っていたみたいだから違うんじゃない? それにホウジョウ、タケダ、イマガワって同盟結んでなかったっけ?
結んでいたな
いたね
じゃあ何処?
だから不明国!
「このような次第ですノブタカ様」
【天下不武】のギルドホームにある会議室でノブタカはヒデミの報告を聞いていた。
「シバタの部隊は?」
「現在転移門の仕様を行い躑躅ヶ崎に到着したと先ほど連絡が入りました」
「カズミの部隊は?」
「【葵】の妨害に成功。しかしながら【白虎隊】に2名の奪略者ありだそうです。後『早急に【種子島・改】完成させて』だそうです」
「【種子島・改】ね・・・魔術的処置の方は?」
「大よそ完成しています。ただ消費量がかなり多いため削減するために開発部が試行錯誤しています」
「なら運用テストもしたいから消費量多くても良い試作品をカズミに送って」
「その様に手配いたします」
一通りやり取りを終えたノブタカは考え込む
アシカガは無いか・・・ナガオ、これもないな。あそこはそんな事せずに正面から挑むだろうし・・・策を弄するとしたらモウリだけど・・・東日本にまでちょっかいを出すか? 嫌出さないだろう。そうすると他国・・・いや【タイラ】とか【アシヤ】辺りが有力か・・・他国に比べ術関連が心もとないからな~それを踏まえシステムが独自にテコ入れってのが一番ありそうなんだけど・・・
【タイラ】源平で有名な平家であり日本サーバーに存在する闇の住人
【アシヤ】陰陽師などでお馴染の清明のライバル的存在。今ゲームでは【タイラ】と繋がりがある
システム独自が考えすぎではあるが、今回の一件には魔物の使役が関連していることから【アシヤ】が絡んでいることは間違いないとノブタカは結論付けていた。
「【陰陽連】は今回の件把握しているのか?」
不意にノブタカは呟く
「【陰陽連】ですか?・・・いえ動いているなんてことは確認してませんけど・・・」
書類を纏め片付けをしていたヒデミがノブタカの呟きに答える。
「いやさ、今回の一件【アシヤ】が絡んでいそうじゃない?」
「!? 言われてみれば・・・確かに魔物の使役など【陰陽術】それも【式神術】あたりだとノブタカ様はお考えなのですね? 分かりました。【陰陽連】の盟主シキノ様に連絡を取って見ます」
「あっいや・・・行っちゃった・・・まっいっか・・・ああ~でも俺あの子苦手なんだよな~」
部屋を後にしたヒデミを見送りノブタカは1人頭をかきむしるのであった。
京都六波羅【陰陽連】のギルドホーム
和室に座り1人お茶を啜る少女がいる。長い黒髪がとても似合う人形のような端正な顔立ちを持つ少女シキノは瞳を閉じたまま再びお茶を啜る。
「ふむ、こに茶葉はちと苦いのう。ゆっくりしたいのだがのう・・・」
誰かが慌てて駆けてくる足音が次第に強まって来る。
「盟主! 大変です!」
突如として戸が開き陰陽師服に身を包んだ年若い少年が駆け込んでくる。
「イッキュウは相も変わらず騒がしいのう・・・ズズズ・・・」
いつものようにシキノは答えお茶を啜る。
「やっぱりちと苦いのう・・・」
「のん気にお茶など啜っている場合ではありません! 【アシヤ】が【アシヤ】が動いている恐れがあります」
ピクリとシキノの方眉が動く
「ほぉ~【アシヤ】とな?」
「そうなんです! その【アシヤ】が甲斐の国の氾濫に関与している恐れがあると【天下不武】のヒデミさんから連絡が!」
「なるほど魔物の使役か・・・確かに【式神術】の応用で出来そうだがのう」
「そうなんです! 急ぎ対策を!」
慌てるイッキュウを閉じた扇でこつんと叩く
「慌てるでない。狙いは甲斐の国ではあるまい。大方武蔵の国の先、下総の国であろう。あそこにはマサカド公の魂が封じられているとの噂だからのう」
「えっ!? って事はもっとやばいじゃないですか! マサカド公って事は【タイラ】が絡んでいるじゃないですか!」
「うむ、そうとも言うのう」
「ああ~もう上総の国の領主サトミ様にお知らせしないと! 大変だ! 大変だ~!!」
戸を開け放ったままイッキュウは再び駆けて行く。
「ほんに忙しないのう・・・ズズズ・・・冷めてもうたではないか・・・」
下総の国【封印殿】
【封印殿】新月の夜に現れる特殊ダンジョン。一説によればマサカド公の魂が最奥に漂い、その魂を封印するために立てられた神殿と言われ、日の光が封印のカギとなっている為に日の光の届かない新月に姿を現すとされている。
「ここが【封印殿】か・・・ふむ、確かに強力な呪力を奥から感じるわい」
「ドウマ殿、解呪は可能か?」
「そう急く出ないキヨタツ殿、まずは最奥にあると言われる封印の祭壇まで行かねばならぬ」
「そこは【アシヤ】所属の【時間旅行者】にお願いできませぬか?」
「ふむ、確かにあやつらは不死身だろうが・・・【タイラ】の主力武将たちより実力は落ちるぞ? まぁキヨタツ殿がどうしてもと言われれば考えなくはないがのう? フォフォフォフォ」
黒ずくめで新月で暗く、更に黒い布を羽織っているのかその体型さえも定かではない・・・そんな中笑い声が木霊すれば周辺住民はたまったものではない。家の中で震え家族で固まっているので精一杯である。
そんな黒ずくめの彼らの下へ生暖かい血の匂いを伴った風が吹き付ける。
「フォフォフォフォ、初めから呼んでおったか。これは楽が出来るのうフォフォフォフォ」
現れた影は全部で3つ【タイラ】の三巨頭と呼ばれる武将たちである。
「ドウマ殿を封印の祭壇まで導け」
キヨタツの言葉に3つの影の瞳が怪しく光る。
「それではドウマ殿お願いいたします」
「フォフォフォフォまぁ泥船に乗ったつもりで待っておれフォフォフォフォ」
泥船では沈んでしまうではないかと影で見えないがキヨタツの顔が歪む。ドウマはそんなキヨタツを気にせずそのまま階段を上がって行くのであった。




