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わたしは黒猫である  作者: 葉留
始まりの街
1/8

0.プロローグ

 小高い丘からぼうっと遠くを見つめる1人の人物。

 左手には剣が握られ、その刀身には誰の物なのか最早分からない程の血が付き、斬った際に付いたのか服は所々赤黒く変色していた。


 目前に広がる赤い炎。

 豊かだった街は見る影もなかった。



(やっと終わった…)



 男の口元には微かに笑みが浮かんだ。


 わたしは世界の全てを憎んだ。ただひたすら憎んで憎んで憎んでーー…憎む前の記憶なんて、もう今となっては何も思い出せない。考えたくもない。


 心が闇に闇に更に深い深淵に落ちていく。

 心が闇に染まる。


 まるでわたしの罪を表すように。



「初めまして、私は    です。」



 ふと、よぎった過去の記憶に首を振る。かつて愛した唯一の人。そしてわたしが壊した相手。



「あはははははははっ!!!」



 男は額に手を当てるとやがて大声で笑い始めた。



「はははっ我ながら呆れたな!今更、なんだというのだ!!全てわたしが壊したのだ!豊かだった世界も人も   も全て!!!ははははははははは!!!」



 狂ったように笑いながら叫ぶ男の目からは、とうに枯れたはずの涙が伝っては頬を濡らしていく。

 自身の頬を伝う涙に気がついた男は手に付いた涙を呆然と見つめる。



(これは…)

「まだあなたにも心が残っているのですね…」

「!」



 突然、聞こえたあり得ないはずの声に男は驚き、恐る恐るゆっくりと振り返る。


 そこには1人の女が立っていた。


 白く長い綺麗な髪はすすで汚れ、来ている服は腹部から流れている血で赤黒く染まり、血色の良かった顔も青白く、女が歩いてきたであろう道には点々と血が滲んでいる。とても動けるような状態ではないにも関わらず、男を見つめる女の瞳はまだ死んではいなかった。



「…なぜ」

「私はあなたを止めなければならないからです。」



 女の瞳から涙が流れる。

 手をかざす女と再び剣を構える男。


 どうしてこんなことになってしまったのか。



「わたしはただ…」

「私はただ…」








 永遠に一緒に居たかっただけなのに…

始まります

次から主人公が出てきます

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