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雨の止む頃に。  作者: 峰 まこと
8/11

優しい温もり

今日は走ってばっかりだ。こんな雨の中、びしょ濡れで本当に惨めな男だ。

気づけばいつもの公園に立ち寄っていた。なんだか彼女がいるような気がして。

そんなことあるはずもないの……に。

自分の目を疑った。こんな日にびしょ濡れになっている人なんていないと思ったからだ。

ギーギー

本当にいた。こんな土砂降りなのにブランコに立ち乗り

「お、どうだった?少年。」

夕方と何ら変わらない話し方。

「なんでこんな時間までいるんですか?」

嬉しかった。安心した。

茅野の家から飛び出してから頭の中にずっといたのは亜夜さんだった。

またいつものように話を聞いてほしい。

「どうしてまだいるんですか?」

「なんだか少年が戻ってくる気がしてさ。」

「亜夜さんはエスパーですか。」

さっきまでうっとうしいと思っていた雨に今は少しだけ感謝している。

涙が隠れてちょうどいい。

だがそんな小手先のごまかしじゃこの人には通用しなかったらしい。

「なんで泣いているの?少年。」

亜夜さんは全部見透かしてわかっているように、指摘してしまう。

「あいつの家に行ったら男がいて。」

俺は茅野にぶつけられなかった思いを吐き出した。

「おかしいと思ったんですよ。あんな子が俺となんて、でも今日ので全部納得できましたよ。

俺の告白断れなかったからとりあえず付き合ってダラダラ関係続けて。

自然消滅するのを待ってたんですよきっと。」

一度溢れ出した思いは自分じゃ止めることができない。

話せば話すほど情けない。でも泣いちゃだめだ明るいフリをするんだ。

「全く俺ってバカだなー。彼女ができたって一人で舞い上がっちゃって、

そのうえ俺気持ち伝えてくるとか言って、何時間か前ここから走り去ってこのざまですよ。」

亜夜さんはいつもみたいに何も言わずに話を聞いてくれている。

さっき泣いていたのはバレたが今はきっと大丈夫だ。またいつものように

少年はバカだねって言ってくれるだろう。

「俺は好きだったけど、きっとあいつは……。」

そう言いかけたところで亜夜さんは俺の言葉を遮った。

唇に湿っぽさ、温かさを感じた。

俺の溢れ出た気持ちが唇を通して亜夜さんの中に流れていく。そんな気がした。

突然のことに呆気に取られている俺に亜夜さんは一言

「少年はよく頑張ったぞ。」

そんな言葉にこらえていた涙が溢れた。俺の声は雨にかき消されている。

聞こえていたのは亜夜さんくらいだろう。

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