夕焼けの告白
はあ、はあ。
あの決心からどのくらいの時間走り続けているのだろう
それまではちっぽけだと思っていた校舎がこんなにも広かったなんて。
キーンコーンカーンコーン……
下校の本鈴が校舎中に響いている。
日比谷の挑発に近い後押しを受けて走り出したはいいものの、
情けない俺のことだ、今日を逃せば告白する勇気なんておそらくもう出ないだろう。
記念すべき十戦目が不戦敗なんて、俺にお似合いの呆気ない幕引きだ。
はあ…。カバンを取りに行こう。
ガラッ
「御手洗くん?」
夕日の差し込む教室。そこには茅野がいた。
「か、茅野さん!?なんでこんな時間に?」
会えないと半ばあきらめていた俺は突然の出来事に動揺を隠せずにいた。
「わからないところがあったから先生に聞きに行ってたの。御手洗くんこそどうしたの?」
彼女の質問に俺の頭はフリーズした。
なんて答えればいいんだ?俺も先生のところに質問に行ってた?
いや、俺はそんな柄でもないことはしない。
友達を待ってた?
いやいや、こんな時間まで待つような友達いないし
たぶん今学校に残ってるのなんて茅野と俺くらいだろう。
早く、なんでもいいから早く何か答えなきゃ。
「茅野のこと探してたんだ!」
茅野は豆鉄砲でも食らったかのように目を丸くしてぽかんとしている。
あれ?俺今なんて言った?
自分の失言に全身が熱くなっていく。逃げ出したい、逃げ出したい。
「え、えっとー。私に何の用かな?」
俺がどうして探していたのかというところに突っ込んでくる彼女
俺は逃げ出したい一心だった。
でもそれじゃあ今までのダメだった俺と変わらない。変わるって決めたんだ!
「俺…茅野に一目惚れしました!良ければ俺と付き合ってください!!」
言えた!ちゃんと伝えた。
放課後の教室の時間が止まったような気がした。
彼女が口を開くまでの一分、俺には十分くらいに感じる。
「急にそんなこと言われても……。」
彼女の第一声。終わった。
日比谷よ、玉砕の瞬に恥じない戦いを俺は見せたぞ
涙をこらえていると
「ちょっと…考えさせて。」
彼女から思いもよらない返事が返ってきた。
「えっ?」
彼女のほうを見ると彼女は走って教室から出て行ってしまった。
横を通り過ぎるとき見えた彼女の横顔は真っ赤で照れているようにも見えた。
あんな姿を見たらより一層好きになってしまう。
「考えさせてとか……ズリい。」




